東京五輪の陰に隠れているが、大阪がいま、再び注目を集めている。1970年以来、55年ぶりとなる大阪万博の2025年開催が決まり、IR法案に関連してカジノ誘致も盛り上がる。政界では維新旋風が吹き荒れ、昨年4月の大阪知事・市長ダブル選で圧勝。府と市の二重行政をなくし、特別区を設置する「大阪都構想」は、今年11月にその是非を問う住民投票が予定されている。
さらにはインバウンド・ブームで、関西空港にショッピングエリアの心斎橋や難波と、どこも外国人客で賑わっている。日本有数のコリアンタウンである鶴橋(大阪市)は国内外からの観光客で溢れ、道頓堀周辺のドラッグストアに殺到する中国人客の爆買いはいまや大阪名物だ。不動産市場も好調で、タワーマンションやホテルの建設ラッシュが続く。
だが、光が当たれば影も色濃くなる。
芸能界に目を向ければ、吉本興業の闇営業問題で、大阪が生んだお笑い文化と反社会勢力の“切っても切れない”関係が露呈した。ヤクザの世界では、山口組分裂抗争をめぐり、大阪市内の傘下組事務所に対し、大阪府警が使用制限の仮命令を通達。組員の集合や連絡に事務所を使うことを禁じた。府内初となる措置に衝撃が走った。
光と陰、清と濁が渾然一体となりながらあらゆる方向にエネルギーを解き放つ街──それが大阪だ。
※週刊ポスト2020年1月17・24日号