ドラッグストアの全国の軒数はコンビニよりも多いといわれ、24時間営業の店舗も少なくない。不調を感じたら、いつでも気軽に薬やサプリメントを購入し、試してみることが可能な時代となった。
だが、銀座薬局代表で薬剤師の長澤育弘さんは、そんな時代になったからこそ、注意が必要だと警鐘を鳴らす。
「医師や薬剤師に相談せず、複数の市販薬やサプリメントを同時に併用するのは危険です。そもそも、薬と食品の決定的な違いは“少量で人体に多大な影響を及ぼす”ところ。つまり、どの薬も“毒”になりうるし、副作用がない薬など存在しません」
1種類でさえそうなのに、複数を併用したとしたら、かなりの確率で、しかも場合によっては重篤な副作用が起きることは避けられない。そこで、「市販薬同士」の危険なのみ合わせを紹介する。
※監修/長澤育弘さん(薬剤師、銀座薬局代表。薬同士ののみ合わせや副作用に詳しい)
◆総合風邪薬(ジヒドロコデインリン酸塩配合)×せき止め(ジヒドロコデインリン酸塩配合)
痰を取る成分であるジヒドロコデインリン酸塩は多くの総合風邪薬にも含まれており、二重に摂取することで異常な喉の渇きで症状が悪化することも。
◆総合風邪薬(ジヒドロコデインリン酸塩配合)×解熱鎮痛剤(イブプロフェンやエテンザミド配合のもの)
双方に胃を荒らす副作用を持つ成分が含まれており、相乗効果でより副作用が出やすくなるケースがある。購入する時は成分をよく見て選びたい。
◆胃腸薬(ブチルスコポラミン臭化物配合)×アレルギー性鼻炎薬(抗ヒスタミン薬)
一部の胃腸薬が含むブチルスコポラミン臭化物という成分と、鼻炎薬が含む抗ヒスタミン薬は双方に喉の渇きの副作用が。声が出ないほどの荒れも報告されている。
◆アレルギー性鼻炎薬(抗ヒスタミン薬)×酔い止め薬(抗ヒスタミン薬)
喉の渇きに加え、抗ヒスタミン薬には眠気の副作用も。重複して摂取すると、より強く出てしまう。仕事や運転などに大きな影響が出る可能性も。
◆解熱鎮痛薬(非ステロイド性消炎鎮痛薬)×外用鎮痛性消炎剤(湿布)(非ステロイド性消炎鎮痛薬)
貼り薬でも血液中に吸収されて薬効を発揮するものがほとんど。双方とも胃を保護するプロスタグランジンを減らす作用があり胃痛や胃炎、胃潰瘍などの可能性が。
※女性セブン2020年1月16・23日号