厚労省の統計によれば、心疾患による年間死亡者数は20万人、脳血管疾患は10万人(18年)。日本人のおよそ3人に1人がいずれかの死因で亡くなっている。これらは別々の部位で起きている病だが、その原因は共通している。全身にくまなく張り巡らされた「血管」の異変だ。重病を遠ざけ、健康寿命を延ばす最大の対策は、自分の「血管年齢」を知ることにある。
◆再発リスクが高い「血管事故」
「心筋梗塞や脳卒中は、どちらも『血管の老化』によって動脈硬化が進行して、心臓や脳の血管が詰まったり、破れたりすることで起こる『血管事故』です。全身の細胞に栄養や酸素などを運ぶ血管の老化が進行するほど、血管事故の発生リスクが高まります」
そう語るのは池谷医院院長の池谷敏郎医師。『「末梢血管」を鍛えると、血圧がみるみる下がる!』などの著書を持ち、血管と健康の関係について研究してきた第一人者である。血管に関する数多の症例に接してきた経験から、「血管の老化」が数々の重病の元になっていることが分かったという。
人間の血管は外膜、中膜、内膜の3層構造になっており、血管の老化とは内膜の壁が血管の壁がしなやかさを失い、傷つきやすくなることを指す。
「皮膚が年齢とともに老化するように、血管も加齢によって老けてゆく。また高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病などによっても血管の老化は進行し、血管事故の発生リスクが高まります」
だが血管の老化に自分で気づくことは難しい。