機は熟した、と言っていいのではないだろうか。女性天皇、女系天皇を巡る議論は、15年ほど前に急激な高まりを見せた。しかし、悠仁さまのご誕生で“先送り”された。当時は、「次世代の男子がいない」という状況の下、やむを得ず議論がされた背景があった。
昨年は、上皇陛下のご希望に端を発し、約200年ぶりとなる「生前退位」が実現した。時代の流れに合わせ、皇室もフレキシブルに変化することを、皇室自らが示された。
国民は御代がわりの儀式を目の当たりにし、改めて、皇室のあり方を強く意識し始めた。その中で、時代の趨勢もあって、「なぜ女性ではだめなのか」という、シンプルな問いが俎上にのるのは当然だろう。
綱渡りのような皇位継承でも、「天皇は男系男子であるべき」なのか、それとも「女性天皇・女系天皇もあり得る」のか。もちろん、それは単純な2択ではなく、さまざまな選択肢の組み合わせや、段階的な変化も考えられる。国民に寄り添い、祈りを捧げ続けてきた皇室の未来に、いまこそ国民が寄り添い、真摯で真剣な議論を始めるときだ。
◆血筋の正当性が失われる──女系天皇誕生は皇室の「終わり」か
もし、女性・女系天皇が実現すれば、皇位継承順位は天皇陛下の第1子である愛子さまが筆頭になる。男系の女性天皇がいた過去の歴史と照らし合わせても、愛子さまが天皇になるのは、伝統には反しないだろう。だが、麗澤大学経済学部教授の八木秀次さんはこう反論する。
「愛子さまが民間人と結婚され、その間の子供に皇位を継承させれば、男女の性別にかかわらず、女系の天皇となります。しかし、皇室は初代からの男系の血統を継承する、100%の血統原理で成立している。女系が天皇になれば血統の正統性がなく、皇室の終わりを意味します。
天皇が国民から敬意を集めているのは男系継承という血筋の正統性が基礎にあるからです。女系が天皇になれば、血筋において一般国民との質的な差異はなくなり、敬意の対象とならなくなるでしょう。