男性皇族の減少が顕著な綱渡りのような皇位継承でも、「天皇は男系男子であるべき」なのか、それとも「女性天皇・女系天皇もあり得る」のか。
皇室に関する法律を定めた「皇室典範」第1条には、《皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する》とある。現在は男系男子、すなわち「父方が天皇の血を引く男子」しか天皇になれない。
これに従うと、皇位継承者は順に、秋篠宮さま、そのご長男である悠仁さま、上皇陛下の弟である常陸宮さまのお三方に限られ、今上天皇の第1子である愛子さまは天皇になれない。そして、悠仁さまがご結婚をされて男子をもうけない限り、皇室は断絶する危機にさらされている。
そこで巻き起こっているのが、「女性天皇」「女系天皇」を容認すべきかという議論だ。
そもそも「女性天皇」「女系天皇」「女性宮家」とは何か。NHK放送文化研究所が2019年9月に実施した調査によると、「女系」天皇の賛否を聞いた質問では「賛成」が71%だった。ただし、「女系」天皇の意味を知っているかという質問には、「知らない」が52%と過半数を占めた。
動物行動学研究家でエッセイストの竹内久美子さんが説明する。
「たとえば、天皇陛下の実子である愛子さまが天皇になられたら、男性皇族の血を引いているので『男系』の『女性天皇』となります。一方、愛子さまが民間人とご結婚されて生まれたお子さんが天皇になられると、女性皇族の血を引いているので、男女問わず『女系天皇』となります。『男系』の女性天皇は歴史上8方10代いましたが、女系天皇は過去に1人も存在しません」
また、戦後、皇族の地位を奪われた「旧宮家」の復活論も浮上している。コラムニストで皇室ウオッチャーの辛酸なめ子さんが話す。
「愛子さまが女性天皇になられた場合、旧宮家の男性や男系の血を引く男性皇族の方々の中に好きになれる方がおられてご結婚されれば、男系の遺伝子が保たれる可能性があります。世界中の王室が日本の皇室の歴史に敬意を示しているので、それを絶やしてしまうのはもったいない」
明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰さんは、宮家を「血の伴奏者」と話す。