国内のクルマ販売は、まさに“SUV戦国時代”の様相を呈している。昨年(2019年1~12月)のSUV新車販売でもっとも売れたホンダの「VEZEL(ヴェゼル)」も、決して安閑としてはいられない状況で、近々のフルモデルチェンジの噂が尽きない。果たして次期ヴェゼルはどんなクルマになるのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が予測する。
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2019年10月にデビュー予定が、電子ブレーキのトラブルで発売延期となったホンダ「フィット」が今年2月、ようやく発売される。同じ月にトヨタ「ヴィッツ」もフルモデルチェンジ(車名/ヤリス)される予定で、この両雄対決が久々に国産勢による新車ラッシュの年の口火を切ることになろう。
そのホンダの新商品でもうひとつ、ユーザーの関心が高まりつつあるモデルがある。コンパクトSUV「ヴェゼル」だ。現在販売されている第1世代モデルの登場は第3世代フィットと同じ2013年。そのフィットが第4世代に進化するのと前後してヴェゼルもそろそろ……という見方が出てくるのは自然な流れと言えよう。
ただ、フィットとヴェゼルは置かれている立場が少々異なる。第3世代フィットは鋭意投入したハイブリッドシステムが1年間で連続5回リコールという大失態があったことに加え、デザインも不評だったことから、販売戦線を維持するのが精一杯だった。
それに対してヴェゼルは同じシステムで連続4回リコールを受けたにもかかわらず、モデルライフを通じて人気を保った。2016年末にトヨタが発売した「C-HR」に一時シェアを取られたが、実用性の高さと価格の手頃さでその後、勢いを盛り返している。日本における小型クロスオーバーSUVの代表選手としてのポジションは失われていないということで、フィットに比べるとモデルチェンジを急ぐ切迫性は薄いと言える。
しかし、ヴェゼルも2019年12月でモデルライフ7年目に突入した。本田技術研究所での次期モデル開発も佳境に入っていることは間違いなく、場合によっては実際に組み立てて問題を洗い出す生産試作に移行していても不思議ではない時期である。登場は遅くとも2021年だが、クルマの販売戦線の状況によっては2020年中に出る可能性もあるだろう。