新年早々、隣国から気になるニュースが飛び込んだ。昨年12月、中国中部の湖北省武漢市で59人が原因不明の肺炎を発症。うち6人が重症となり、年が明けた今月11日、61才の男性患者の死亡が確認された。日本国内でも感染者が確認された。
不安が高まるのは、複数の患者から「新型コロナウイルス」が検出されたと報じられたからだ。感染症に詳しい蔵前協立診療所所長の原田文植さんが解説する。
「コロナウイルスは現在6種類が知られており、感染すると咳や発熱などかぜのような症状を引き起こします。特に動物からヒトに感染する2種類のコロナウイルスは、感染すると重症化する恐れがあるので要注意です」
その2種類の危険なコロナウイルスが、SARSとMERSだ。
SARSは2002年に中国で発生すると全世界に拡大し、8000人以上が感染して774人が死亡。中国政府の情報開示が遅れて国際社会を不安に陥れた。日本でも患者が発生した場合、強制入院や就業制限を行えるようにするなどの対応に追われた。
MERSは2012年からサウジアラビアなど中東諸国を中心に拡大し、こちらも700人以上の死者を出している。
今回検出された新型コロナウイルスはSARSやMERSを引き起こしたウイルスとは別の種類で、まだ実態が把握できていない分、油断は禁物だ。
SARSやMERSはヒトからヒトへ感染することでパンデミック(世界的な流行)を引き起こした。
「今回のウイルスは今のところヒトからヒトへの感染は確認されていません。しかしそれは、皮膚や粘膜が接触しての『接触感染』が確認されていないだけです。今後、咳やくしゃみなどを介して感染する『飛沫感染』が起こる可能性はゼロではありません」(原田さん)