毎年、体に異常がないかをチェックするために受ける「健康診断」。採血し、心電図を取り、便や尿を提出し、そして医師の問診を受ける──だが、「毎年これだけ調べているから安心」とはいえない。検査を受けることで、かえって“健康を損なうリスク”があるのだ。
医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。
「検査には『疾患を見落とすリスク』や『過剰な治療につながってしまい健康を損なうリスク』があります。それぞれの検査が持つメリットとリスクを患者自身がきちんと把握したうえで、健診を受ける必要があります」
検査そのものが危険で、命を落としてしまうケースも存在する。
加えて、健診結果を数値で示されると、そのまま受け入れてしまいがちだ。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は警鐘を鳴らす。
「数値の検査結果は、基準値を超えたか超えていないかでしか示されません。しかし、実際には数値だけで患者の健康状態を明確に線引きすることはできません。あくまでひとつの目安と考えなければならないが、そうした正しい理解がなされていない」
※週刊ポスト2020年1月31日号