中国では安全航行祈願で、賽銭代わりに、硬貨を旅客機のエンジン部分に投げ込む人々が後を絶たたない。そんな状況なだけに、投げ込まれた硬貨がエンジン部分に入るなどし、航空会社はエンジン全体を解体して安全チェックをするなど対応に追われている。このような軽い気持ちで硬貨を投げ入れる乗客が続出していることから、会社側は損害賠償を求めて、裁判に訴えるケースが増えている。中国中部の安徽省の裁判所は硬貨を投げ入れた男性に対して、12万元(約200万円)の賠償金を払うよう求める判決を下していたことが分かった。
この男性は安徽省在住の28歳男性の陸超氏。同氏は2019年2月に同省安慶空港発昆明行きの祥鵬航空便を予約。陸氏は旅客機を利用するのは初めてだったため、飛行の安全を祈って、軽い気持ちで、タラップから航空機に乗り込む際、エンジン部分に1元(約17円)硬貨を放り込んだ。
硬貨はエンジンの内部に入ったが、これを見ていた他の乗客が「エンジントラブルの原因になるかもしれない」と騒ぎ出したため、祥鵬航空は、すでに乗り込んでいた乗客全員を降ろして代替機を用意し、予定通り運航した。それとともに、航空機のエンジン部分を全て分解して、陸氏が投げ込んだ1元硬貨を取り出したという。
この行為によって、会社側は代替機の準備やエンジン部分の解体などに多額の費用がかかったとして、陸氏を提訴し、12万3000元の費用を損害賠償請求した。また、陸氏は硬貨を投げ込んだ後、「社会秩序を乱した」との容疑で、警察によって10日間身柄を拘束され、取り調べを受けたという。