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引退の獣神サンダー・ライガー「我々は怒りを表現しないと」

人気レスラーが31年の覆面人生に別れを告げた

 3カウントを取られると、天井を見詰め、90秒間起き上がれなかった。1月5日、東京ドームでの戦いを最後に獣神サンダー・ライガーは31年間のマスクマン生活に別れを告げた──。

「勝っていたら、まだできたんじゃないかと逆に悔いが残る。良い区切りの付け方だったなと。前日には、憧れの藤波辰爾さんにタッグを組んでいただき、自分のガウンにライガーの刺繍まで入れてくれた。プロレスに関わったすべての人に感謝します」

 園芸クラブで女子たちと花を植えていた小学6年の時、少年は『別冊ゴング』の表紙を飾る藤波の写真に衝撃を受けた。

「頭の中で勝手に就職しちゃいました。中学を卒業したらプロレスラーになると。それほど、藤波さんの戦うために鍛え上げた肉体がカッコ良かった」

 中学時代、1日3000回できるまでスクワットを反復したため、脚の成長が止まってしまう。身長165センチと入門規定に遠く及ばず、高校に進学。レスリングで国体に出場し、卒業後メキシコに渡った。逆輸入で日本のリングに上がろうと道を探ると、新日本プロレス(新日本)の旗揚げに参加した鬼軍曹・山本小鉄に出会い、1983年6月に入門。アントニオ猪木に付き人として仕え、レスラーの心構えを叩き込まれた。

「試合が盛り上がってないと、『この雰囲気をどう変える?』と聞くんですよ。僕が答えられずにいると、藤原喜明さんが竹刀を持って乱入して、選手をバッカバカに叩きまくって帰ってくる。それを見た猪木さんは頷いている。相手を必ず倒すという“怒り”を表現しないとダメだと覚悟しました」

外したマスクを持つライガー

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