落語家・林家正蔵(57才)が9代目を襲名してから、今年で15年。かつて「こぶ平」を名乗っていた時代はテレビタレントの印象が強かったが、今や古典落語にも取り組み、新作を得意とした父・三平(享年54)とは、異なる芸で観客を魅了している。
正蔵には3人の子供がいる。彼らもまた正蔵と同じ道を歩む決心をしたようだ。
「正蔵さんの25才の長男は2013年に父の下へ入門し、翌年『たま平』の名で前座に上がりました。2017年には二ツ目に昇進しています。そして最近、次男も入門したんです。現在、大学生の彼は将来を決めるタイミングで、落語家として歩む覚悟をした。昨年末には正蔵さんが、ひいき筋に“次男が入門しました”と紹介しています。2人とも笑いのセンスがあるようで、バラエティー番組が、この息子たちに“第2のこぶ平”の姿を見ているとか」(芸能関係者)
自分の背中を見て、夢を追う息子たち。父親冥利に尽きることには違いないが、実は、伝統芸能を受け継ぐ一家の宿命ともいえる問題が迫っているという。世襲問題だ。
「林家の大名跡といえば正蔵で、次いで三平がありますが、正蔵の弟の2代目三平(49才)にも、元女優で妻の国分佐智子(43才)との間に3才になる息子がいます。将来的に落語家になれば、3人で2つの大名跡を奪い合う、“骨肉の争い”が起こる可能性があります」(前出・芸能関係者)
正蔵にも襲名には苦い思い出がある。当時を知る落語関係者が明かす。
「こぶ平時代に襲名の打診があった時、てっきり父の三平を継ぐのかと思っていたそうです。しかし、提案されたのは正蔵でした。あまりにも大きな名前に“自分には荷が重い”と固辞したのですが、周囲の説得により襲名を決めたという経緯があります」
状況は異なるが、正蔵としては将来起こるかもしれない“襲名問題”に複雑な心境を抱いているのではないか。
正蔵と三平の所属事務所に聞くと、「(次男は)まだ見習いの身分なので、話せることは何もありません」と答えるのみだった。
もともと林家の止め名は正蔵だけだったが、先代・三平は自ら名前を大きくし、林家の大看板にのし上げた。
正蔵と三平の息子たちが自力で大名跡を作り、親族トラブルを回避できれば、これ以上の親孝行はないだろう。
※女性セブン2020年2月6日号