ハイスペック男性との出会いを楽しむ「港区女子」。彼ら彼女らの飲み会では、女性へのアプローチと言えば経済力に裏打ちされたスタイルが多かったが、最近は少し変化が出てきているようだ。現役港区女子でコラムニストの吉川リサコ氏がリポートする。
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若い実業家や外資系金融マンといったハイスペック男性から港区女子への口説き文句として典型的なのは、こういうものだった。
「犬好きなんだ? うちヒルズなんだけど、チワワ飼ってて。遊びにこない?」
「ハワイのホテルとってるけど一緒に行く人決めてなくて。飛行機代出すから行かない?」
「先週、メルセデスが納車されたんだ。ドライブ行こうよ」
近頃、そうした経済力を前面に出した口説き文句が当たり前になってきて女性がなびかなくなってきたからか、最近は少しずつ女性へのアプローチが変化しているように感じる。
最近話題のスタートアップ企業の創業メンバーで、資産が何十億とも言われているバツ1のタカユキ(仮名、以下同)は自称「見える」らしい。年末に行われた飲み会。お酒が進んで夜も深くなってくると、周囲の港区おじさんも「彼、凄いから。見えるらしいから」とおだてる。タカユキはこう話し始めた。
「本業はIT系で全然違うことやってるけど、スピリチュアルもけっこう好きで。これからの時代、会社経営にも必要だし」「君たちは特別に見てあげるよ」
そういう話がけっこう好きな女子も多く、「いつ結婚するか」「うまくいく男性のタイプは」「いま気になっている人とどうなるか」などと聞きたがる。
その場にいたアミも、タカユキにその手法で口説かれた一人だ。アミはもともとスピリチュアル系に興味があり、話は盛り上がった。
「うんうん、アミちゃんてお母さんと仲良くないよね?」
「親が小さい頃離婚してて。父方に引き取られたから、たまに会うけど、凄い仲いいわけではないですよ」
「やっぱり、アミちゃんのうしろにいるご先祖様が俺に色々教えてくれるから。アミちゃんは人見知りだけど、うちに秘めている優しさ、純粋さは人一倍だね。あと、凄く甘えたいっていう気持ちが強いよね」
少し雲行きが怪しくなってきたのはこのあとだ。
「あー、先祖が代々離婚してるね」
「いや、祖父母はどっちも離婚してないですよ」
「けど、もっと前、8世代くらい前はそう見える。君からくるエネルギーが僕に助けを求めてるんだよ」