早々に2横綱が休場した初場所を盛り上げたのは個性的なキャラクターで愛される時津風部屋の正代(しょうだい・前頭4)だった。9日目には1敗対決で大関・貴景勝に勝ち、優勝争いの主役に躍り出た。
「最高位は西関脇で大関候補といわれてきた28歳。独特なのはそのあまりにネガティブな性格です。十両昇進会見で対戦したい相手を聞かれ、“できればみんなと当たりたくない”と発言。同席した時津風親方(元幕内・時津海)から“バカじゃないの、お前。何をするにもマイナス思考だな”と突っ込まれていた」(担当記者)
本誌・週刊ポストの密着グラビア(2016年5月27日号)に登場した際も「対戦相手を想像すると、緊張して飯も食えなくなる」といったネガティブ発言を連発。
本人自ら「プレッシャーに弱いというか、これまでも肝心の一番で負けていますね。それに負けるとクヨクヨするタイプ」と苦笑し、その言葉だけ聞くと“相撲は向いてないんじゃ……”と心配になるが、東京農大出身の元学生横綱だ。
学生横綱になったのが2年時だったので幕下付け出しデビューの資格が失効し、前相撲からスタートしたが、史上3位のスピード記録となる11場所で新入幕。いきなり敢闘賞を受賞した。
自身のセールスポイントを「立ち合いで変化しないこと」とする言葉に偽りはなく、今場所も強い当たりから右四つで一気に前に出る相撲で白星を重ねた。過去7連敗中だった貴景勝に勝った後は、花道を笑顔でスキップしながら引き揚げる姿が全国中継された。