中国・武漢で発生した新型コロナウイルスは、世界中に感染者が拡がり、警戒が強まっている。多くの中国人が大移動する春節を迎え、日本ではどのような危機が迫っているのか。
成田や羽田、関空など主要空港では検疫の警戒が高まっているものの、水際対策はそれだけでは十分ではない。近年の中国人観光客の訪日パターンは大きく変化している。中国国内から直行のクルーズ便や航空便が出ている地域を訪れる人々が増えているのだ。
クルーズの寄港上位は、博多港、那覇港、長崎港など。宮古島など沖縄の離島へ行く便も多い。中国事情に詳しいフリーライターの西谷格氏が指摘する。
「沖縄には乗客定員4246人、全長347mにも及ぶ大型客船がやってくる。片道2日間かけて那覇港に到着すると、丸1日かけて観光して、また2日間かけて帰国するという4泊5日のスケジュールです。大人数が飛行機以上に長い時間を船内で過ごすため、感染が広がりやすい」
空の便では、佐賀・佐賀空港の利用者が多いという。
「上海から佐賀へは飛行機でわずか2時間足らずで行けるうえに、LCC(格安航空)の春秋航空が九州で唯一就航しています。運賃も片道3000円程度からと安い。中国のネットでは佐賀の田舎の風景が“桃源郷”と讃えられています。有田焼や佐賀牛グルメが口コミで高評価を受けていますし、嬉野温泉や武雄温泉への観光客も多い」(西谷氏)
こうした海港や地方空港でも、主要空港と同じくサーモグラフィーでの発熱確認などといった検疫が実施される。しかし、大空港に比べて人員には限りがあるため十分な対策とは言い難いのが現状のようだ。
※週刊ポスト2020年2月7日号