2月1日のキャンプインを前にプロ野球選手の自主トレも熱を帯びている。スポーツ紙を開けば、思わず笑ってしまうトレーニングも含め、その様子が報じられている。それにしてもそんな“映える写真”はどのように生まれるのか。1961年、長嶋茂雄(巨人)を超える契約金で国鉄に入団した“大物新人”だった徳武定祐氏が語る。
「球団の要望で、金田正一さんと目黒の体育館で自主トレをしました。話題作りの狙いがあったようですね。マスコミに求められ、握手を交わしました」
シーズンオフ中のネタ枯れを嫌う球団が、自主トレの取材をセッティングしてメディアに声をかけているという。
「願掛けの意味で、1990年に落合博満さん(中日)は三冠王を狙うため午前3時33分、2000年の松坂大輔選手(西武)は末広がりの午前“8”時、背番号の“18”分、20勝の“20”秒に始動。時計を背景にして撮りました。その場で、マスコミ側から“絵作り”を提案することもあります」(スポーツ紙記者)
2013年、当時日本ハムの大谷翔平は雪の降り積もる1月5日、在学中の岩手・花巻東高で約30人集まった報道陣の要望に応え、雪の玉を打つパフォーマンスを披露したこともある。
自主トレ中の異彩を放つ1枚は球団、選手、メディアの三位一体で生まれているようだ。
◆取材・文/岡野誠
※週刊ポスト2020年2月7日号