2月に入るとプロ野球12球団は一斉にキャンプイン。例年通りの光景だが、今年は何やら事情が違う。半年後の東京五輪のために、“特別シフト”が組まれ現場が戸惑っているのだ。その余波は思わぬところにまで広がって……。番記者たちが紙面で書けない裏話を打ち明ける。
スポーツ紙デスクA:五輪イヤーの今季は、セ・パ両リーグとも変則スケジュールに振り回されそうだね。例年より10日も早い3月20日に開幕するし、ペナントは五輪期間中の7月21日から8月13日までの24日間が中断期間になる。
セ担当記者B:それだけ空くと試合勘を取り戻すのはなかなか難しいし、ペナントレースの流れも変わる。阪神の矢野(燿大)監督は「前期・後期として戦う」と宣言しましたが、勝負は通年。そう上手くはいかないんじゃないですかね。
ベテラン編集委員C:かつてパ・リーグでは前期・後期の2シーズン制が実施された。1974年、ロッテ監督の金田正一氏は“前期は捨てる”戦術をとった。後期に全力をかけて優勝したロッテは、前期優勝の阪急とのプレーオフに勝ち、中日との日本シリーズも制した。しかし、今じゃそんなやり方はできないからね。
パ担当記者D:だけど、夏場に弱いチームは“休憩期間”が得られるので勝機が出てくるんじゃないですか。2017年の楽天は開幕から首位を突っ走り、7月時点で最大31の貯金を積み上げましたが、夏場に故障者が相次いでソフトバンクと西武に抜かれて3位に終わった。夏場を休めれば、優勝戦線も変わってくるはず。
セ担当B:矢野監督は前期・後期というけど、阪神にはもともと本拠地・甲子園を高校野球に明け渡す「死のロード」がある。今年は五輪の影響で、甲子園の開催時期も後ろ倒し(8月10日開幕)となるため、阪神が甲子園に帰って来るのは9月1日。7月18日から約1か月半も本拠地を使えない。さらに、本拠地が五輪会場のDeNA、資材置き場になるヤクルトも1か月半の「死のロード」となる。