「オリゴマンネート」という薬が昨年末、中国で認可された。これはアルツハイマー病の治療薬としては、17年ぶりの新薬になるという。
アルツハイマー型認知症患者数は現在、世界中で4600万人を超えている。そのうちの約5分の1を占める950万人は中国人で、中国の患者数は20年ごとに倍増すると予想されていることから、アルツハイマー病患者救済にとって画期的な新薬になることが期待されている。香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が報じた。
開発したのは中国科学界の最高機関である中国科学院の上海薬物研究所と中国海洋大学、上海市に本社を置く「緑谷(グリーン・バレー)製薬」だ。
新薬の1か月の治療費は3580元(約5万7000円)で、一般市民にとっては高価だが、中国政府によって補助医療薬品に認定されれば、廉価での販売も可能だという。
同社ではこれまでも数年間かけて、臨床実験を行ってきた。アムステルダム自由大学神経科教授兼アルツハイマー研究センター所長で「緑谷製薬」の科学顧問でもあるフィリップ・シュケルテンス医学博士は、「オリゴマンネートによる腸内毒素症と神経炎症の抑制が、アルツハイマー病患者の認知機能障害の改善をもたらすという臨床試験の結果が得られている」としている。
バナー・アルツハイマー研究所専務理事で「緑谷」の科学顧問でもあるエリック・レイマン医学博士は「今後は範囲を拡大したグローバルな臨床試験で、この医薬品の臨床的、生物学的効果をさらに評価することにしている」と述べている。