東京・神奈川では2月1日に解禁日を迎える私立中学入試。近年、共学や付属校の人気が続いていたが、今年の出願状況を見ると、男子校の志願者増が目立つという。いったいなぜなのか──。安田教育研究所代表の安田理氏がレポートする。
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2020年度中学入試の出願動向を追いかけている中で、もっとも早くに顕著な動向として見えてきたのが、男子進学校の復調だ。ここ数年、共学志向、付属校志向が際立っていたが、今年は男子進学校への回帰がハッキリと見られる。
中でも巣鴨、世田谷学園、攻玉社、早稲田は1月27日段階で前年より1割以上も増えている学校群だ。その背景を探ってみよう。
◆共学校から男子校にシフト?
まず全体の動向に触れておきたい。1月27日段階で、都内の男子校で2月1日に入試を行う26校(全体では31校あるが、学習院、暁星、サレジオ、明大中野、立教池袋は最初の入試が2月2日)のうち、半数の13校が前年の最終出願者数を上回っていた。
近年はほとんどの学校がWEB出願になり、1月31日の深夜まで出願を待つ家庭が増えているにもかかわらず、5日も前に前年の最終出願者数を上回った学校がこれほどあったのだ。
難関校は締め切り自体が早い学校が多く、1月27日の段階ですでに締め切っている学校もある。麻布、海城、開成、駒場東邦、芝、桐朋、武蔵、早稲田、早稲田大学高等学院がそうだ。このうち前年の最終出願者数に達しなかったのは、麻布、芝、早稲田大学高等学院のみ。このように今年は全体的に男子校の出足が極めて好調だった。
これに対して、1月27日段階で最終出願者数を上回っていた共学校の男子は、武蔵野大学、穎明館、文化学園大学杉並、八王子学園八王子、日本大学第二、工学院大学附属、日本大学第三、国学院久我山、淑徳、中央大学附属、成蹊、明治学院、かえつ有明くらいである。
2月1日に入試を行っている共学校は78校あるから、比率で言えば17%。男子校の50%がいかに高いかが分かる。
それにお気づきだろうか。上がった校名のほとんどが多摩の学校だ。多摩には男子校は桐朋と明法しかないから、比率的に共学校を志望しているとも見て取れる。多摩以外の区部も文化学園大学杉並、日本大学第二、国学院久我山と東京西部の杉並区の学校が多く、ほかは淑徳とかえつ有明しかない。
つまり男子校の選択肢がいろいろある地区では、敢えて男子校を選んでいるように見えるのである。