中国だけでなく、日本、韓国、タイ、カナダ、アメリカ、フランスなどにも拡大している新型コロナウイルスの感染による新型肺炎。新型コロナウイルスは、日を追うごとに威力が増している。
当初、このウイルスは「感染力が弱い」とされていた。1人の感染者から平均で何人にうつっているかで感染力を示すと、インフルエンザは1.4~4人、SARSは2~5人とされる。
世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスの感染力を暫定的に1.4~2.5としたが、世界中の研究機関から、3.3~5.5(香港理工大など)、3.6~4(英ランカスター大など)といった上方修正の指摘が相次いだ。
1月下旬、中国当局も「当初の想定より感染力が増している」「潜伏期間中(最大14日)も感染する。これがSARSとの大きな違いだ」と見解を示している。
中国以外の国と地域ではヒトからヒトへの感染は確認されていなかったが、1月24日にWHOがベトナムのケースでヒトからヒトへの感染が起きたとみられると明かした。日本でも確認されている。
「現在の症例からすると、発熱や空咳が中心で、3~5日後には息切れがし、最悪、ショック症状を起こしたり、肺に水がたまったり、想像を絶する苦しみの中で亡くなることになる。WHOは、咳やくしゃみなどで飛び散る飛沫や直接的な接触でウイルスに感染する可能性があるとして対策を呼びかけています」(医療ジャーナリスト)
中国当局によると、新型コロナウイルスに感染して死亡が確認された17人(男性13人、女性4人)の平均年齢は73.3才で、80代が8人で最も多かった(1月22日時点)。
またWHOが中国から入手した感染者約290人のデータでは患者の72%は40才を超え、40%に糖尿病、高血圧、心血管疾患などの持病があった。年齢が高く血管系の持病を持つ人ほど、重症化リスクが高くなることがうかがえる。
「中国政府は新型コロナウイルスのゲノム情報を世界の研究機関に向けて公開したが、ワクチンの完成には少なくとも1~2年が必要といい、即効性のある対策は難しい」(全国紙社会部記者)
では、対策はどうすればいいのか。自治医科大学附属病院感染制御部長の森澤雄司医師が説明する。