1980年代中頃、有名人の写真を撮るために熱心に追いかけた彼らはいつしか「カメラ小僧」(カメコ)と呼ばれるようになった。まさに言い得て妙のネーミングだが、一体なぜそう呼ばれるようになったのか。カメコ歴40年のベテランが意外な真実を語る。
「元々、カメラ小僧という言葉は単にカメラが趣味の若者が増えた際に作られた愛称です。我々は『追っかけ』とか、そんな風に呼ばれていた。でも藤井フミヤがテレビで『カメラ小僧』と呼んだことで、いつの間にかそれが普及したんです」
その背景には、あるカメコの存在があった。
「チェッカーズが1983年にデビューした当時からずっと彼らを追いかけていたTという熱心なカメコ男性がいました。彼は人懐っこい人柄も幸いしてかメンバーにも気に入られて、移動中やプライベートショットを公認で撮らせてもらっていた。メンバーから“お前は8人目のチェッカーズだ”と言われるほどでしたが、Tはそんなメンバーを裏切ってしまった」
追っかけの資金作りのため、写真を他のファンに売ってしまったのだ。
「ある時、空港の到着ロビーで出待ちをしていたTを見つけたフミヤが“写真、売っただろ!”と怒ったそうなんです。しかも翌日に出演した『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングで、タモリに『弟分みたいに可愛がっていたカメラ小僧に、変な写真を売られちゃったんです』と言ったんですよ。その時の言葉こそ、普及のきっかけだったのです」
そうして8人目のチェッカーズは“脱退”させられたという。
◆取材・文/河合桃子
※週刊ポスト2020年2月7日号