仕掛けが大きな大作映画だけでなく、人生の機微を感じる映画作品も好きな諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師。お正月大作映画のあとに公開を控えている、きらりと光った映画を鎌田医師が紹介する。
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お正月は映画館にとって書き入れ時だが、お子様映画か万人受けのする映画が多い。「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」を見たが、ハラハラドキドキもなく退屈だった。でも、実は、これから2月中旬にかけて、きらりと光った映画がそろっている。
まず、ぼくがおすすめしたいのが、「私の知らないわたしの素顔」だ。パリの高層マンションに暮らす50代の大学教授が、24歳の女性になりすまし、若いカメラマンと恋に落ちる。会えば正体がバレてしまう。しかし、会いたい気持ちは募っていく。というと、いまさらフェイスブックなりすましの話か、と思われるかもしれないが、物語はもっと複雑だ。
大学教授を演じるのは、ジュリエット・ビノシュ。出来心でついた嘘だったが、女はどうにも止まらない。自分で自分を裏切っていく。この「嘘」と「裏切り」の物語は、とても見ごたえがあった。
1月31日からロードショーが始まる「男と女 人生最良の日々」は、ぼくと同年代の人にとっては感慨深い映画だろう。
1966年に製作された第一作目の「男と女」は、名画座の三本立てで見た。ぼくは大学生だった。フランシス・レイの有名なダバダバダ……というスキャットで始まるテーマ音楽はあまりにも有名。映画も音楽も世界中で大ヒットした。その53年前と同じスタッフとキャストが再集結している。