今や欲しい物はネットで買うのが当たり前。外出する必要もなければ、重い荷物を持ち帰る必要もないネット通販が大人気だが、想像していた物とは違う物が届くリスクはある。ネット通販で購入の品物を返品したいのだが応じてもらえない場合、どうすれば良いのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
ネットの通販で革ジャンを購入したのですが、油臭く1週間外干しをしても臭いは消えていません。購入店に返品と返金の請求をしたところ、「返品に応じられず、それはHPに明記されている」というので確認してみると、隅っこに小さな文字で表記されていました。この場合、諦めるしかありませんか。
【回答】
ネットの通信販売で業者から物を買えば、民法上の売買ですが、特定商取引法が適用される通信販売にも当たります。
特定商取引法では、通信販売についてクーリングオフに似た契約解除の制度があり、業者がネットの注文画面で「返品できない」など、この制度を利用できないと広告していない限り、商品を受け取った日から起算し、8日内であれば、契約を解除できます。返品できない特約の表示方法については、同法施行規則でパソコンのモニター上に「顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法」で表示するなど、容易に認識できるものでなければならない、とされています。
例えば、商品の価格や申込先の電話番号等、消費者が必ず確認すると考えられる事項が表示されている箇所に近接して表示する、商品の価格等と同じ文字の大きさとする、標準設定で12ポイント以上の文字、色文字・太文字を用いる、などです。こうした見やすい表示がなければ、特定商取引法に基づき契約解除できますが、外干しを1週間した後だと返品を電話した時には、この解除期間が経過しているかもしれません。