オーラルフレイルで総死亡率が2.09倍になるとの研究もある。
2つ目は「精神的フレイル」だ。意欲や認知機能の低下などの状態を指し、認知症やうつ病の発症リスクを高めるという。
3つ目に、独り暮らしで貧困や孤立に陥るなどの状態を「社会的フレイル」という。
「フレイルは馴染みがない概念ですが、現在75歳以上に急増中で、全国で350万人が該当し、今後も増え続けると考えられています。決して他人事ではなく、高齢社会の“新国民病”と呼べる症状なのです」(山口医師)
ただし、知っておきたいのは「要介護になる手前=フレイルの状態で正しく対策すれば、より健康な状態に“回復”できる」という点だ。
4月から「フレイル健診」が義務化されたのは、要介護の“手前”でリスクを判定するためだ。フレイル健診の作成に携わった、桜美林大老年学総合研究所所長の鈴木隆雄教授が説明する。
「フレイル健診といっても、血液検査やレントゲン撮影などの従来の健診項目に加え、医師から15項目の問診を受けるだけです。問診項目は厚労省主導で作成され、フレイルか否かの判定に役立つ質問が厳選されています」