日本人男性の部位別がんで死亡数がトップの肺がんや、肺炎などさまざまな肺疾患を見つけるために行なわれる胸部X線検査(レントゲン)。検査を受けるべきかどうかの判断基準について、医療経済ジャーナリストの室井一辰氏はこう話す。
「40歳以降、自治体の健康診断で無料で受けられるのはメリットでしょう。しかし、肺に不調のない人が任意でお金を払ってまで毎年受ける必要はない(自費で受ける場合は2000円程度)。
米国外科学会は、無症状の人が検査を受けてもその後の治療につながる可能性が2%ほどしかないので受けるべきではない、と指摘しています。肺がんの罹患率は50代から高まるため、50歳以上の人は発見率が高い胸部CT検査(低線量CT)を選択するべき。こちらは3年に1回は受けたほうがよいとされています」
注意すべきは、「低線量CT検査」には被ばくリスクがあるほか、偽陽性(がんがないにもかかわらず、がんと診断される)とされるリスクもあるということだ。室井氏が続ける。
「米国胸部学会が低線量CT検査を定期的に受ける意味が大きいとしているのはヘビースモーカー。喫煙歴がない人は、医師と相談のうえで検査をやめるか、5年に1回程度に減らしてもいい。
日本人男性の平均寿命を考えれば、70歳を超えれば中止することを医師に相談してもよいでしょう」(室井氏)
※週刊ポスト2020年2月14日号