凜々しい表情の長谷川博己(42才)の顔に『麒麟がくる』のタイトルが重なると一転、舞い上がる炎の前を、武士を乗せた馬が駆け抜けていく様がスローモーションで映し出される――。重厚な音楽にのって疾走する堂々たる馬の姿は、明智光秀の激動の人生を象徴するかのようだ。テレビ画面を見ながら、胸をなで下ろした人がいた。
大河ファンからも絶賛されているNHK大河ドラマ『麒麟がくる』のオープニング。19.1%という好調なスタートを切り、2、3話も高視聴率をキープしている今作。
「人気の高い戦国時代ということに加え、前作『いだてん』とは違ったゆっくりとした展開で、これまでの大河ファンが戻ってきた。また、“あの事件”で放送前から注目度が高まったことも高視聴率につながっているようです」(テレビ局関係者)
昨年11月、光秀の幼なじみで斎藤道三(本木雅弘・54才)の娘・帰蝶を演じる沢尻エリカ(33才)が麻薬取締法違反の罪で逮捕されたのを受け、急きょ、川口春奈(24才)を代役に立てて10話分までを撮り直し。大河ドラマ初の放送開始日の後ろ倒しとなった。
「キャスト陣の再撮は早朝から深夜まで及び、スタッフ共々疲労困憊でしたが、それはキャストが乗る馬も一緒です。長谷川さんはどんなに疲れていても、撮影準備が忙しくても、撮影の前に必ず“愛馬”のところに来て、顔や頭をなでながら、“今日もよろしくな”と声をかけていました。大河初主演のプレッシャーがかかる長谷川さんにとって、愛馬の存在は大きな心の支えになっているように見えました」(NHK関係者)
長谷川が『麒麟がくる』で乗っているのは、バンカーという名の雄の「撮影馬」。冒頭のオープニング映像も、CGではなく、バンカーが本物の炎の前を走っているのだという。
その映像を見てホッと胸をなで下ろしていたのは、バンカーを含め、多くの撮影馬を育てている乗馬クラブ「ラングラーランチ」のオーナー・田中光法さん。田中さんは過去にドラマ『信長協奏曲』(フジテレビ系)で小栗旬(37才)に乗馬を指導するなど馬術指導師の顔も持つ。
「戦闘のシーンでも、長谷川さんご自身がバンカーに乗って撮影に臨んでいます。それができるのは、バンカーが長谷川さんを慕い、また、長谷川さんもバンカーを心から信頼しているからです」(田中さん)
そんな田中さんが心底残念がるのが、沢尻エリカだ。沢尻が乗っていた馬も、田中さんの乗馬クラブの撮影馬で、かつては大河ドラマ『真田丸』(2016年)で堺雅人(46才)を乗せたことがあるという。