新型コロナウイルスの感染拡大をうけて中国政府は1月27日以降、国民の海外への団体旅行を禁止。訪日中国人客が多い観光地からは、経済的打撃を嘆く声が聞こえてくる。
中国人観光客に人気の高い観光地を調べると、沖縄の離島に奇妙な明暗が起きていた。2019年の年間中国人観光客数が宮古島では16万4104人(クルーズ船乗客数)なのに対し、石垣島ではわずか3万9467万人(空路含む)に留まっているのだ。
2020年1~3月に予定されている中国本土からの直行の船便は、宮古島に28便あるのに対し石垣島は5便しかなかった。いずれも1500人以上の定員を収容する大型船だが、便数の違いが観光客数の差に表われていると言えそうだ。
日本国内ではともに高い人気を誇る両島に大差があるのは「尖閣諸島」の問題が絡んでいると、石垣市の日刊紙・八重山日報編集長の仲新城誠氏が解説する。
「2010年9月、尖閣諸島周辺で中国漁船が日本の巡視船に衝突した事件があった際、同年2月に石垣市長に当選していた中山義隆・市長(現職)が『尖閣諸島は歴史的にも国際法上も、我が国固有の領土で石垣市の行政区だ』と発言するなど、国内外に領有権をアピールした。
石垣市では同年から毎年1月14日を『尖閣諸島開拓の日』と条例で定め、記念式典を開催しています。2012年に当時の石原慎太郎・東京都知事が尖閣諸島購入の方針を打ち出した時も、中山市長は石原都知事と会談し、賛意を示しました。中山市長の対中強硬路線が石垣島への観光客数に影響している、と地元では言われているのです」
宮古島では中国人観光客の減少が懸念されるが、石垣島ではその影響は少ないと見られている。
※週刊ポスト2020年2月14日号