「日本は新型冠状病毒(コロナウイルス)の心配がないからマスクを外せるよ!」。1月29日、東京の浅草・雷門を仲間と観光していた上海在住男性(60代)が笑顔で話した。
中国政府は団体旅行を禁止したが、個人旅行の観光客は押し寄せる。お目当てはやはりマスク。だが、どの店も売り切れ続出だ。福建省から来た家族連れは、空の棚を前に茫然として言う。
「明日帰国するが、帰るのが怖い。中国ではマスクが品薄で高騰しているので日本で買っていきたいんだけど……」(父親)
考えることはみんな同じだ。
「マスクはずっと品切れ。朝の開店時には入荷していることが多いが、中国の方がすぐに全部買ってしまう」(銀座のドラッグストア店員)
購入個数の制限をかける店がほとんどだが、なかには珍客も。
「マスクの箱を大量に抱えてレジにきた中国人の方に『1個までです』と断わると、何度もレジに並び、段ボール数箱分も買った。『タクシーを呼んでくれ』と言われたが、一体どうやって持って帰ったのか……」(浅草のホームセンター店員)
中国からの“猛威”はここにもある。
※週刊ポスト2020年2月14日号