国内

武漢からの帰国者宿泊施設、国家公務員が便所掃除や買い出し

帰国者の受け入れは厳戒態勢だった(写真/時事通信社)

 大きな混乱を呼んでいる新型コロナウイルス。埼玉県和光市の国立保健医療科学院の受講生用寄宿舎では、ウイルス猛威を振るう中国・武漢からの帰国者が、一時的に身を寄せている。その施設で2月1日、内閣官房職員の男性A氏(享年37)が建物から落下して死亡していたのが見つかった。

 A氏が自殺した当時、この科学院には政府が派遣した第三便のチャーター機で1月31日に帰国した149人のうち、98人が滞在していた。

「A氏は1月31日から施設に泊まり込み、過酷な勤務状況が続いていたようです。自殺と受け入れ業務の因果関係は不明ですが、混乱を極める現場で大きなストレスを抱えていたのは間違いないようです」(全国紙社会部記者)

◆ホテル従業員は決死の覚悟だった

 現場に混乱が生じた背景に、政府の初動の遅れがあると指摘する声は多い。そもそも中国の習近平国家主席は1月20日にウイルス封じ込めを指示したが、日本政府が首相と全閣僚で構成する対策本部を設置したのは、10日後の1月30日だった。

「充分な準備が整わないまま五月雨式に対応が進み、最初のチャーター機の準備中は帰国希望者を空港に集めることに必死で、国内の宿泊先選定が滞りました。チャーター機が中国を離陸する直前に、ようやく千葉県勝浦市の勝浦ホテル三日月に決まったのですが、受け入れ当日に知ることとなった従業員は、決死の覚悟だったでしょう。受け入れ側は努力をしてくれたが、相部屋が発生したりと混乱を招いたのは政府の責任です」(政府関係者)

 ちなみにフランスでは、中国からの帰国者179人が「できる限り快適に」過ごせるよう、フランス南東部のリゾート地にある保養施設で隔離生活を送る。海岸に面した保養施設には、バレーボール場やカフェスペースが準備される。

 お国柄の違いといえばそれまでだが、日本とは全く異なる対応である。

 2月1日からは、中国湖北省に過去2週間以内に滞在歴のある外国人と、同省発行の中国パスポートを持つ人の入国拒否が始まった。

「新型肺炎の症状がなくても入国を拒否する異例の措置で、一定の効果が望めます。ただし滞在歴は自己申告に頼らざるを得ず、完全な遮断効果は望めません」(前出・全国紙社会部記者)

 政府が後手に回りつつも対策を進める中、気を揉んでいるのは公務員たち。「実は武漢からの日本人帰国が決まってから、各省庁にお達しが出たんです」と語るのはある中央省庁に勤める国家公務員だ。

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト