米政府は1月下旬、米国領内での出産を目的にした外国人妊婦に短期の入国ビザを発給しない方針を発表した。中国では出産した子供が米国籍をとることができるように、妊婦を集めた米国ツアーが人気になっていた。
トランプ米大統領は外国移民の流入に批判的で、出産ツアーについても「外国人妊婦による米国での出産を目的とした旅行は犯罪行為であり、国家安全保障の観点からも好ましくなく、厳しく取り締まる」としている。これを受けて、米国務省は短期の観光ビザに関する条項を変更して、「観光のための短期訪問に、出産ツアーは含まれていない」との規定を追加した。
移民法の厳格化を主張する米国の民間組織「移民研究センター」は1年間で約3万6000人の外国籍女性が米国で出産し、その後出国したと推定しているが、その大半は中国籍女性とみられている。AP通信が報じた。
出産ツアーは、米国で生まれた場合、米国の市民権を無条件で得ることができるという制度を利用したもの。
中国人妊婦などを募集した米国内の旅行代理店のパンプレットなどによると、出産予定日の2カ月前に観光ビザで米国入りし、病院などに入院し、出産後、1カ月で帰国するという日程だ。
このツアー代金の中には往復航空券やホテル代、入院や出産費用などの医療ケアを含め費用は数万ドル。宿泊施設により費用には幅がある。
入国予定の妊婦には「税関で妊娠していると分からないように、ゆったりした衣服を着るように」とアドバイスしているという。