ライフ

最新研究でわかった猫草の役割、栽培キットで育てるのもアリ

猫草の種類として最もポピュラーなのが「燕麦」。イネ科の植物で、ビールやウイスキーなどの原料としても使われる

 猫が好んで食べる草の総称を「猫草」といい、毛づくろいの際に飲み込んだ毛やほこりを吐き出すために食べさせた方がいいとされている。しかし、猫草を食べない猫もおり、それを心配する飼い主が多いのだとか。そこで今回は、最新の研究でわかった猫草の役割について紹介する。

 なぜ、猫は草を食べるのか、その理由は明確にわかってはいないものの、これまでに、いくつかの理由が推察されてきたと、獣医行動診療科認定医の藤井仁美さんは言う。

 その理由とは、

【1】毛玉やほこりなど、胃腸の中にたまった消化されにくい物質を取り除くため
【2】便秘を解消するため
【3】栄養素(葉酸など)を取り込むため
【4】不安などのストレスを軽減するため

 などだ。ところが昨今の研究で、草を食べて毛玉を吐くといった行動が、すべての猫に見られるわけではないことや、具合が悪そうな猫だけでなく、健康な猫も草を食べていることなどから、猫は目的を持って意図的に草を食べているわけではないのではないか、という新たな説が、昨年の学会で発表されたと、藤井さんは続ける。

「その発表によれば、猫にとって草を食べる行動は、ねずみや鳥などを捕まえる捕食行動と同類の、本能的な行動だと考えられるというのです」(藤井さん・以下同)

 その学会の発表では、草を食べる別のメリットとして、腸内の寄生虫を排出しやすいよう、消化管内の筋肉の動きを促進するという説も公表された。

 日本のペットとしての猫は、室内飼いが主流なので、腸内に寄生虫はほとんどいないが、それでも、かつての野生の本能にしたがって、草を食べている可能性が高いというわけだ。

 しかし、本能的な行動というならば、すべての猫が草を食べそうだが、実際は食べない猫もいる。それはなぜなのか。

「猫草を食べない猫は、単に本能的な行動が強く出ない個体なのではと考えられます。そういった猫に草を食べさせようとしてもストレスになるだけなので、無理に与える必要はありません」

 与えてみて喜んで食べるのなら与えればよく、食べたがらない猫に無理に与える必要はないのだ。また、与える猫草にも注意が必要だという。

「猫草は、ペットショップや園芸店、ホームセンターなどで手に入れましょう。道などに生えている草は除草剤や農薬などがついている心配があるからです。また、先が尖った細い草を食べさせると、のどに刺さったり、咽喉部分を抜けて鼻から出てきたりして、苦しい思いをさせることもあるので注意しましょう」

 猫草はおもちゃや嗜好品などと同様と考え、きちんと飼い主が選んで与えた方がいい。

【「猫草栽培キット」で安心・安全な草を育ててみては】

◆土を使わないので部屋が汚れない

『猫草栽培セット 2個入り』190円/無印良品 銀座

 オーストラリア産の燕麦種子を使用した栽培セット。土の代わりに再生粉砕パルプを使用しており、誤って猫が倒しても部屋が汚れない。発芽から7~10日が食べ頃。食べ終えた後は可燃ゴミとして処理できる。

◆水を入れるだけで簡単!完全有機・無農薬なのもうれしい

『ニャッパ 12回分』3300円(送料別)/環研

 北海道産の大麦種子を使った栽培キット。箱の中に種や土など栽培に必要な材料がセットされているので、あとは水130ccを注ぐだけ。約72時間で発芽し、1週間後には食べ頃を迎える。完全有機・無農薬。

※女性セブン2020年2月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン