国内

江戸時代には日本国憲法の天皇観が既にあった不思議

評論家の呉智英氏

 大昔から続く伝統的なもの、考え方だと疑わずに信じられていることは案外多い。時代にあわせて変遷を繰り返し、意外な時代と現代が似通っていることもある。評論家の呉智英氏が、天皇観の移り変わりについて解説する。

 * * *
 少し前のことになるが、学生からこんなことを聞かれた。

「日比谷に昔は野球場があったんですね」

 ん? 日比谷に大きな公園はあるが、そこに野球場なんて…。あ、そうか、こいつは老人たちが「宮城前広場」と言っているのを聞いて「球場前広場」だと勘違いしたのだ、と気付いた。

 皇居という名称は、戦後の一九四八年改称以後のことであり、それまでは宮城と言った。戦後数年間の大規模なメーデー集会は宮城前広場で行なわれている。我々が当然のように使っている「皇居」は七十年余の歴史しかない。その「宮城」も一八八八年(明治二十一年)以後の名称だから六十年間だ。最も長期間使われた名称は奠都(てんと)以前の「江戸城」である。

 天皇家の住居の名称だけでも何度も変更されては忘れられる。

 産経新聞に「100年の森 明治神宮物語」という連載企画がある。明治神宮造営にまつわる経緯や逸話を紹介していて興味深い。一月三十日付には、こうある。

 明治四十五年七月「明治天皇の病気が公表され」「二重橋前の広場には」「大勢の人々が昼夜集まり、回復を祈った」。これについて「九州産業大の平山昇准教授は『明治時代前半なら天皇に関心がない国民も多かったが、日清・日露戦争の勝利をきっかけに〈天皇のおかげ〉という意識と尊敬心が非常に高まっていた』と話す」。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ブラジルを公式訪問している佳子さま(写真/アフロ)
佳子さま、外交関係樹立130周年のブラジルを公式訪問 子供たちと笑顔でハイタッチ、花柄のドレス姿も 
女性セブン
「寂しい見た目」の給食に批判が殺到(X /時事通信フォト)
《中国でもヤバい給食に批判殺到》ラー油かけご飯、唐揚げ1つ、「ご飯にたまご焼きだけ」と炎上した天津丼…日本・中国で相次ぐ貧相給食の背景にある“事情の違い”
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
家出した中学生を自宅に住まわせ売春させたとして逮捕された三ノ輪勝容疑者(左はInstagramより)
《顔面タトゥーの男が中学生売春》「地元の警察でも有名だと…」自称暴力団・三ノ輪勝容疑者(33)の“意外な素顔”と近隣住民が耳にしていた「若い女性の声」
NEWSポストセブン
山本賢太アナウンサーのプロフィール。「人生は超回復」がモットー(フジテレビ公式HPより)
《後悔と恥ずかしさ》フジ山本賢太アナが過去のオンラインカジノ利用で謝罪 「うちにも”オンカジ”が…」戦々恐々とする人たち
NEWSポストセブン
親日路線を貫いた尹政権を「日本に擦り寄る屈辱外交」と断じていた李在明氏(時事通信フォト)
韓国・李在明新大統領は親中派「習近平氏の接近は時間の問題」、高まる“日本有事”リスク 日米韓による中国包囲網から韓国が抜ける最悪のケースも
週刊ポスト
田中真一さんと真美子さん(左/リコーブラックラムズ東京の公式サイトより、右/レッドウェーブ公式サイトより)
《真美子さんとの約束》大谷翔平の義兄がラグビーチームを退団していた! 過去に大怪我も現役続行にこだわる「妹との共通点」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《「来来亭」の“ウジムシ混入ラーメン”動画が物議》本部が「他の客のラーメンへの混入」に公式回答「(動画の)お客様以外からのお問い合わせはございません」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン