春になると大量発生するダニやノミ。これらが媒介するウイルスや菌は、猫だけでなく人にも感染し、命を落とす危険性もあるとか。
「室内飼いだから大丈夫!」なんて思っていたら大間違い。室内でも感染する恐れがあるダニ・ノミ関連の病気と予防法について紹介します。
国立感染症研究所は今年1月、マダニにかまれ、一時歩行が困難になった男性から新種のウイルスが検出されたと発表し、注意を呼びかけた。
この件に限らず、ここ数年、マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(通称SFTS)」の被害が拡大しており、2019年の患者数は102人と、2013年に国内で感染が報告されて以来、初めて100人を超えた。
SFTSは、SFTSウイルスを持つマダニにかまれることで発症する病気で、発熱や全身倦怠感など風邪に似た症状が表れる。重症化すると死に至ることもあり、日本でも66人(国立感染症研究所調べ 2020年1月29日現在))が亡くなっている。
発症するのは人間だけと考えられていたが、2017年にSFTSウイルスに感染・発症した猫や犬、チーターが立て続けに見つかり、動物も感染することが判明。
昨年、SFTSを発症した猫は200匹以上にのぼった。しかも、SFTSは、猫や犬などの動物から人にうつることも確認されており、愛猫と飼い主の健康を守るためにも対策は必須だと、東小金井ペット・クリニック院長の青沼陽子さんは言う。
猫から人へどのようにうつるのか、感染経緯はまだ解明されていないという。
「予防をするには、猫にかまれないこと、トイレ掃除は手袋を使う、キスをするなどの過度な触れ合いは控えること。そして定期的にマダニの駆除薬を投与することが大切です」(青沼さん・以下同)
主な駆除薬には、猫の首筋に薬液を垂らすだけで、全身に成分が行き渡り、マダニやノミが付着しても死んで自然に落ちるスポットタイプがある。効果の目安は1か月。外部と接触のない室内飼いの場合も、薬の投与は必要だ。
「同居犬が散歩の時に持ち帰ったり、ねずみや野良猫が家に持ち込むこともあります。家の中なら安全と思わず、対策した方が安心です」