ライフ

親の介護 「離れて暮らしたほうが幸せになれる」との提言も

久田恵さんは親の介護とどう向かい合った?(写真/共同通信社)

 親の介護に悩んでいる、あるいは将来を考え不安を抱えている人は多い。共通しているのは「面倒を見なければ」という思いだが、「あまりに苦しむなら、親を捨ててもいい」と語るのは、『もう親を捨てるしかない』などの著者で宗教学者の島田裕巳氏だ。

「今は長寿社会なので子供が80歳になっても親が100歳で生きていることがある。そうなると、いつまで経っても自由になれないという事態に陥りかねない。

 介護が必要な親を放り出すことは現実的には難しいので、そうなる前に親との関係に“けじめ”をつけておくことが必要です。親を背負う必要はないんだと日頃から理解し、親のために尽くし、人生を棒に振る必要はないと決断することです。

 もし今親と同居しているなら世帯分離するのも一つの手です。一度親元を出て自立したら、自分が望まない限り定年後に再び親と同居する必要はありません」(島田氏)

◆「限界」を素直に伝える

 すでに親の介護に直面している人はどうすればいいのか。88歳の母親を自宅に引き取り、夫婦で介護する都内在住のA氏(64)が語る。

「母は2年前に認知症を発症してから徘徊癖がひどく、片時も目が離せません。周囲からは施設に入れることを勧められますが、罪悪感が生じてどうしてもできない。介護の重荷を背負わせている妻には、本当に申し訳なく思います」

 A氏のような感情を抱く人々は多く、親と“決別”するのは実際には難しい。その場合、介護の負担を減らす形で、親と距離を置くやり方もある。介護ヘルパーの資格を持つジャーナリスト・末並俊司氏が語る。

「最悪なのは親の面倒を見るために子まで心身ともに疲弊し共倒れすることです。“まだ限界ではない”と先送りにするより、目安として、食べることと排泄することのどちらかがひとりでできなくなった時点で、介護施設に入ってもらうことを考えるべきです。

 最初は“親を捨てるのか”と親本人や親族から言われるケースもありますが、『私たちも限界だ』と素直に伝えるべき。介護施設に入れた人の多くが、『結果として良かった』と言っています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
被害者の村上隆一さんの自宅。死因は失血死だった
《売春させ、売り上げが落ちると制裁》宮城・柴田町男性殺害 被害者の長男の妻を頂点とした“売春・美人局グループ”の壮絶手口
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
突然の「非常戒厳」は、国際社会にも衝撃を与えた
韓国・尹錫悦大統領の戒厳令は妻を守るためだったのか「占い師の囁きで大統領府移転を指示」「株価操作」「高級バッグ授受」…噴出する数々の疑惑
女性セブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン