スポーツ

生粋の野村チルドレン ヤクルト・高津臣吾新監督への期待

春季キャンプ、ブルペンで小川泰弘の投球練習を見守るヤクルトの高津臣吾監督(左。写真:時事通信フォト)

 南海、ヤクルト、阪神、楽天と4球団で監督を務めた野村克也さん(享年84)逝去の報は、マスコミでも大きく報じられ、メディアでも連日その偉大な功績を振り返る特集が組まれている。

 生前、野村さんは「財を残すは下、仕事(業)を残すは中、人を残すを上とす」を信条としていた。今季、12球団の監督の半数が現役時代に野村さんの指導を受けており、その言葉を体現した人生だったと言える。野村さんのヤクルト監督時代の教え子は、日本ハムの栗山英樹監督、西武の辻発彦監督、楽天の三木肇監督、ヤクルトの高津臣吾監督。阪神監督時代の教え子は、中日の与田剛監督、矢野燿大監督だ。野球担当記者が話す。

「野村監督の薫陶を受けた期間が3年以下の監督が5人いる中で、ヤクルト時代に8年間も野村監督の元でプレーしたヤクルトの高津監督は生粋の野村チルドレンと言えます。今まで、野村監督の元でプレーした選手が監督になったケースで、指導を受けた最長年数は古田敦也氏の9年。高津監督は2番目に長い。1990年代のヤクルトの黄金期を支えた抑えのエースですから、野村野球の真髄を知り尽くしている。3番目に長い6年の真中満氏は2015年にヤクルトをリーグ優勝に導いていますし、高津監督への期待は否が応にも高まります」(以下同)

 野村さんと高津監督には、いくつかの共通点がある。

「テスト生であり、1年目オフの解雇危機から這い上がったノムさんと比べれば、高津監督はドラフト3位で1年目から1軍で投げており、順風満帆に思われるかもしれません。しかし、高校でも大学でも2番手投手だった。エースにない特徴を模索してアンダースローに転向するなど、常に試行錯誤を重ねてきました」

 2人は、ボロボロになるまで現役生活を続けた点も共通する。野村さんは24年間在籍した南海で42歳までプレーした後、ロッテ、西武に移籍して45歳まで選手として働いた。高津監督は2004年にメジャーに挑戦した後、2006年にヤクルトに復帰するも、39歳になる2007年に戦力外通告を受けました。その後、韓国、アメリカのマイナーリーグ、台湾、日本の独立リーグと渡り歩き、44歳になる年までプレーした。独立リーグでは選手兼任監督を務め、ヤクルトで投手コーチ、2軍監督も歴任した。

「2人ともさまざまな立場を味わっており、酸いも甘いも知っている。また選手時代に日本一も最下位も経験しているところも同じです。高津監督は指導者のなかでも有数の経験を持っており、それが采配にも活きてくると期待されています」

 昨年、セ・リーグ最下位に沈んだヤクルト。思い返せば、2015年に就任した“野村チルドレン”の真中監督は前年の6位から優勝を果たした。1990年、9年連続Bクラスだったヤクルトの監督に就任した野村さんは『弱者の戦い方』を説き、9年の在任中に4度の優勝、3度の日本一を成し遂げた。その黄金時代を体験した教え子である高津新監督は、どんな手腕を見せるか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
第75代横綱・大の里(写真/共同通信社)
大の里の強さをレジェンド名横綱たちと比較 恵まれた体格に加えて「北の湖の前進力+貴乃花の下半身」…前例にない“最強横綱”への道
週刊ポスト
地上波ドラマに本格復帰する女優・のん(時事通信フォト)
《『あまちゃん』から12年》TBS、NHK連続出演で“女優・のん”がついに地上波ドラマ本格復帰へ さらに高まる待望論と唯一の懸念 
NEWSポストセブン
『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン