国内

囲碁対局停止処分の依田九段 「最後の無頼派」の仰天伝説

中国の馬暁春九段を下し、元老戦優勝を果たした依田紀基九段(2019年1月17日 新華社/共同通信イメージズ)

 2月12日、囲碁界の総本山である日本棋院を不当に中傷したとして、元名人の依田紀基九段(54)が半年間の対局停止処分となった。そもそも依田九段とはどんな棋士なのか──。依田九段を十代のころから知っている囲碁ライターの内藤由起子氏が、依田氏にまつわる“ぶっ飛んだ”エピソードの数々を明かす。

 * * *
 依田九段は1966年北海道美唄市に生まれ、岩見沢市で育った。小学5年生で単身上京し、安藤武夫七段宅で内弟子生活を送る。

 1980年、14歳でプロ入りしたときから「将来の名人」と目され、その期待通り2000年に念願の名人となった。名人4連覇や世界チャンピオンになるなど、トップ棋士として活躍していた。

 一流棋士でも、国民栄誉賞を受けた井山裕太三冠ら平成生まれになると、常識的な人がほとんどだ。けれども、借金にまみれ、アルコール中毒、さらには病気と闘いながら碁を追究した藤沢秀行名誉棋聖に代表されるように、昭和以前生まれは実に個性豊かな棋士が多かった。

 そんな中、依田九段は“最後の無頼派”と評される。

◆遊びたいがために18歳で独立

 依田九段の師匠、安藤七段は、「衣食住などの環境を整えてやれば、あとは本人のやる気、努力次第」という育成方針だった。

 依田少年は持ち前の集中力で碁に没頭し、碁盤の目(縦横の線)がすり切れて消え、のっぺらぼうになるまで碁石を並べて勉強した。

 その一方で、一般常識と思われるようなことが、できないこともあった。

 たとえば、20歳を過ぎても、ネクタイをひとりで結べなかった。碁に関係ないこと、必要があると思えないことは覚えようとしないのだ。テレビ対局のときなどは、首を差し出してスタッフらにネクタイを締めてもらっていた。

 そんな状況でも、「何かに大きく秀でている子は、何かできないことがあるものだ。仕方がない」と、師匠は無理に教えこもうとはしなかった。

 18歳で内弟子から独立して一人暮らしを始めたのは、遊びたいがためだった。碁の勉強を疎かにし、博打、酒、オンナにのめり込んでいったという。

〈この当時は女性が複数いる時期のほうが長かった。電信柱すら女体に見えるサル状態だったから、最高で8人同時進行という時期もあった。それでもほとんど罪悪感はなかった。恋人の関係という意識が希薄だったからである〉

と、依田九段は著書『どん底名人』(角川書店)でも吐露している。

10歳の仲邑菫初段が人気を集める囲碁界だが…(時事通信フォト)

10歳の仲邑菫初段が人気を集める囲碁界だが…(時事通信フォト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

連ドラの主演を2クール連続で務める松本若菜
【まさに“代打の女神さま”】松本若菜、“別の女優が急きょ降板”で10月ドラマで2クール連続主演 『西園寺さん』も企画段階では違う大物女優が主演の予定だった
女性セブン
史上最速優勝を果たした大の里(時事通信フォト)
【角界の世代交代】史上最速優勝の大の里に包囲網 最大のライバルはたたき上げの平戸海、日体大の同級生だった阿武剋・旭海雄・石崎らにも注目
週刊ポスト
33年ぶりに唐沢寿明が鈴木保奈美と共演する
【地上波ドラマでは『愛という名のもとに』以来33年ぶり】唐沢寿明、2025年1月期で4年ぶり民放連ドラ主演、共演は鈴木保奈美 テレ朝は大きな期待
女性セブン
一時は通常の食事がとれないほどだったという(7月、岐阜市。時事通信フォト)
宮内庁の来年度予算概算要求「医療環境の整備等」が約1.5倍に増額 “大腸ビデオスコープ”への予算計上で再燃する紀子さまの胃腸への不安
女性セブン
事件現場となったアパート
《東大阪・中高生3人誘拐》「事件の夜、女の子の怒鳴り声が」咳止めの市販薬を80錠使用して急性薬物中毒に…逮捕された男のアパートで目撃された“黒髪の女子学生“
NEWSポストセブン
NHKの山内泉アナ
《極秘結婚していたNHK山内泉アナ》ギャップ感あふれるボーイッシュ私服は約9000円のオシャレブランド お相手は慶応同級生…大学時代から培った「ビビットな感性」
NEWSポストセブン
不同意わいせつ容疑で書類送検された山口晋衆院議員(Facebookより)
《不同意わいせつ容疑で書類送検》自民・山口晋議員、エレベーター内キス目撃した20代女性の母親に「ガス会社の社員」を名乗った理由
NEWSポストセブン
長澤まさみ
松本潤、野田秀樹氏の舞台で共演する長澤まさみを“別宅”に招いて打ち上げを開いた夜 私生活では距離があった2人がお互いを高め合う関係に
女性セブン
三田寛子がSNSに載せた初めてのツーショットの真相
《三田寛子の誕生日ツーショット》実は「バースデー当日の写真ではない」疑惑が浮上 中村芝翫は愛人と同棲する家へ直行していた
NEWSポストセブン
妻とみられる女性とともに買い物に出かけていた水原元通訳
《買い出しツーショット》水原一平被告が痩せてロン毛に…購入した「米とビール」にみる現状の生活
NEWSポストセブン
斎藤元彦知事。職場外でも“知事特権”疑惑が(時事通信)
【まるで独裁者】兵庫県・斎藤元彦知事「どこでも仕事すべき」と論じるSNS投稿に映しだされていた「真っ白なGoogleカレンダー」
NEWSポストセブン
再婚発表に賛否両論
東出昌大、再婚の裏側 親しい知人への報告は「発表の直前」 “山暮らしの後輩女優”の1人はSNSで「勝手」と意味深なメッセージ
女性セブン