親の最期をどう看取るか、そのことに悩む人は多い。入院する親のために子や親族が交代で看病するのが当たり前とされるが、長引けば負担は大きくなる。
漫画家の小林よしのり氏は2013年に母をがんで亡くしたが、余命半年を宣告された時に記したブログが反響を呼んだ。
〈母がガンで余命半年を宣告された。本来なら直ちに帰省して、母の手を取り、同情してみせるのが常識なのだろう。親戚関係は次々に母の病室を訪れ、「よしのりはなぜ帰ってこないのか?」と文句が出ているらしい。だが締め切りがあるから帰れない〉
ネットには「親不孝者」「さっさと帰れ」との声が相次いだが、小林氏は気にしなかったという。
「危篤なら帰るが余命宣告されただけでまだ元気なうちは帰れないと言っただけです。『母がかわいそうだ』と一目散に駆けつけて心配する“演技”をする。そんなしらじらしいことをするつもりはなかったので、今も全く後悔していません。
親孝行は程度問題で、多かれ少なかれみんなズルしているもの。親の面倒を長男に押しつけるのもズルだし、その長男が妻に押しつけるのもズルでしょう。負担が増すぐらいなら、同じズルでもヘルパーや施設に頼るべき。わしに言わせれば、親孝行はズルしたっていい」
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号