検査を受けた経験のある人からは“苦しい”“つらい”という声が多く聞こえてくる「胃カメラ」と「大腸カメラ」。体内に内視鏡という“異物”を入れるため、CTやMRIなどと比べても、人によっては拒否反応を示すケースが少なくない。
ただ、同じ胃がんを発見するための検査でも、多くの専門家がバリウム検査と比べて胃カメラによる発見率が高いことを強調する。同様に大腸がんを調べる上でも、定期健診などで一般的な便潜血法より大腸カメラの優位性が指摘されている。
「つらさ」だけを理由に、精度の高い検査を忌避することで、早期発見のチャンスが失われ、命の危機につながるケースも起こりうる。
そこで知っておきたいのは、検査の“つらさ”も「どこで受けるか」によって変わってくるケースがあることだ。
胃カメラによる検査を実施する医療機関によっては、口からではなく鼻からより細いカメラを挿入する「経鼻内視鏡」を用意しているところや、検査に際して「睡眠薬(鎮静剤)」を用いるところがある。マールクリニック横須賀院長の水野靖大医師が解説する。
「胃の内視鏡検査の苦しさを軽減する上では現在、主にこの2つのアプローチがあります。まず1つめの『経鼻内視鏡』の場合、舌の奥の部分を刺激することがないので、“オエッ”という嘔吐感を軽減できます。
ただし、鼻が痛むことや、『送気』によるお腹の張りは出ることがある。胃の襞の間にがんが隠れていないかを確認するために送気は必須です。また、内視鏡が細い分、口からのものに比べると画質が悪くなります」
そのため、水野氏のクリニックでは「睡眠薬」の使用を推奨しているという。