国際情報

新型コロナ感染にアフリカ豚コレラが関係説、中国人に響く訳

広州白雲国際空港の乗客にはこんな姿も見受けられた(EPA=時事)

 伝染病の蔓延時には流言飛語が飛び交うものだが、噂の出所にも様々ある。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスの感染拡大で揺れる中国で、いま二つの噂が大きな注目を集めている。

 一つは、日本でもよく知られた生物兵器が流出したという説でありる。これは多くの専門家が否定していることなので、ここでは言及しない。実験動物の管理がずさんだったという可能性は残るものの、兵器としてはあまりに頼りないのも確かである。

 さて、もう一つは何かといえば、それは今回の新型コロナウイルスがアフリカ豚コレラ(アフリカ豚熱ウイルス感染によるブタの熱性伝染病)と関係しているという説である。昨年一年間、中国を苦しめた問題だけに、人々がこの説に鋭く反応したのは言うまでもない。しかも、噂では「殺処分して埋めた大量の豚をわざわざ掘り返して、激安価格で市場に再び流していた。その過程で新しい病気が生まれた」という説明がついているのだ。

 アフリカ豚コレラと新型コロナウイルスを結びつけることは、実際のところ無理があるのだが、中国の人々の耳には極めて説得力のある話として響いたようだ。というのも、埋めた豚を掘り返す、というのはいかにもありそうな話だからだ。

 中国には二つ以上の国が併存している、というのは中国を分析する上で忘れてはならない視点だ。極めて高いモラルと一緒に、目を背けたくなるような醜悪な現実も同時に混在する国だからである。そのどちらを見るかで中国の評価は真っ二つに分かれるのだが、問題はたいてい貧困層から生まれてくる。

 要するに「カネになる」と思えばそこまでやる人間がいて、「安い」となれば出所も問わず仕入れるルートもあるということを人々は知っているのだ。だからこそ、「やりかねない」との結論に達すのである。今回の新型コロナウイルスとは直接結びつかなくとも、そうした豚肉が出回っていた可能性は、疑惑レベルでは否定的できないのだ。

 想像力豊かな中国人の妄想であってほしい話である。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田中圭と15歳年下の永野芽郁が“手つなぎ&お泊まり”報道がSNSで大きな話題に
《不倫報道・2人の距離感》永野芽郁、田中圭は「寝癖がヒドい」…語っていた意味深長な“毎朝のやりとり” 初共演時の親密さに再び注目集まる
NEWSポストセブン
春の園遊会に参加された天皇皇后両陛下(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会ファッション》皇后雅子さま、選択率高めのイエロー系の着物をワントーンで着こなし落ち着いた雰囲気に 
NEWSポストセブン
現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
週刊ポストに初登場した古畑奈和
【インタビュー】朝ドラ女優・古畑奈和が魅せた“大人すぎるグラビア”の舞台裏「きゅうりは生でいっちゃいます」
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン