加入している健康保険で年に1度受けられる「定期健診」には、無料あるいは少額の費用で受けられるという大きなメリットがある。ただし、検査項目は限られてくる。
さらに詳しく健康状態を把握するには、様々な部位の検査がひとつのパッケージとなった「人間ドック」を受けるか、「胃がん検診」「脳ドック」など個別の部位について詳しい検査を受けるかの2つの選択肢がある。
しかし、それぞれにメリット、デメリットがあるため、「漫然と検査を受けて、『これで安心』と思ってしまうのは危険です」と医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は注意を促す。
「人間ドックは多項目にわたって詳しい検査を行なうため、全身の健康状態を一度に知ることができる。自身の健康リスクを把握して生活習慣の改善につなげたり、疾患を早期発見し、早期治療を受けることも可能です。
ただし、人間ドックの通常コースには『胸部CT検査』や『大腸内視鏡』、『脳MRI』などは含まれておらず、これの部位の重大疾患を調べようとすると結局オプションとなってしまう。
それなら、親や兄弟にがんを患った人がいる場合には最初から『がん検診』を、脳梗塞や脳動脈瘤を患った人がいる場合には『脳ドック』を個別に受けたほうが良い」
「人間ドック」と部位ごとの検査のメリット、デメリットを知った上で、自分に合った検査を選ぶことが大切なのだ。
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号