いまの高齢者が働き盛りだった25年ほど前から急激に普及し始めた携帯電話。昨年3月末には携帯電話の人口普及率が約140%にも。親しい人への連絡方法から情報収集の仕方まで、まさに急激な変化を遂げた。いまの働き盛り世代には生活の必需品だ。
高齢者も「難しそう」と敬遠する人がいる一方で、新たな生活ツールとして取り入れようと、教室やショップに足を運ぶ人が増えているという。
そんな彼らを応援すべく、スマホ教室や情報発信を行うモバイルプリンスこと島袋コウさんに携帯・スマホの魅力とビギナーの心得を聞いた。
「いつどこにいても家族や友人に連絡が取れる。もし運転免許証を返納したら、スマホの乗り換えアプリを使って目的地までのルートや電車の乗り場も調べられ、どんどん出かけられる。いまの時代を生きる高齢者にとって携帯やスマホは、世界を広げる重要なツールの1つです」と言う島袋さん。
とはいえ急速に進化したこの分野。高齢者には機器の使い方からではなく、少し手前の“世界”を説明するという。
「スマホだけでなく、ガラケー、タブレットを並べて、自分の使い方を考えるといい。まずガラケーは持ち歩ける電話機。簡単なメールもOK。スマホは通話やメールもできる小型パソコンのようなもの。インターネットにつながっているので世界中の人と交流したり情報収集したりが、どこでもできる。目覚まし時計、ニュース、ゲーム、辞書などなど、さまざまな機能のアプリを取り込んで、自分好みの一台にして使えます。
そしてタブレットは画面の大きいスマホ。映画などの動画、本や新聞、雑誌などを見るのに向いている。これらを買って来なくても、ベッドの上でもすぐ見られるのです」
スマホは画面が小さいので、家で見て楽しむなら、“ガラケーとタブレットの2台持ち”もおすすめだ。
「この使い方をされる高齢者は、多くなっていますよ。2台持つと料金も2倍というわけではなく、プランによってはスマホ1台とそれほど変わらないこともあります」
高齢者にとってスマホが難しいのは“アップデート”があること。機能がバージョンアップするのは、洗濯機などの家電といちばん違う点だ。
「高齢者が最初につまずくのもそこ。スマホには操作手順の説明書がありません。手順だけを必死に暗記するとアップデート後にわからなくなる。電話をかける、メールを送る、アプリを起動して使う、それらがいろいろな絵柄のアイコンにタッチすると進むという基本的なしくみを理解したら、細かい操作は“自転車に乗るように”体で覚える。若者より時間はかかりますが、多くの高齢者もこの壁を乗り越えています」
スマホを始めた老親が初めの段階で戸惑っても、辛抱して見守る必要がありそうだ。
「手っ取り早くスマホになじむのにおすすめなのが“音声アシスタント”です。iPhone、Androidともに搭載されていて、ホームボタンの長押しなどで起動。“太郎に電話したい!”と話しかければ登録している太郎に発信。“明日7時に起こして”と言えばアラームをセットしてくれます。簡単なわりに実用的でスマホならではの便利さが体感できます。ここから入って使いこなしていくのもいいですよ」
※女性セブン2020年3月5日号