いわゆる「お天気お姉さん」は、今や情報番組には欠かせない存在だが、お天気お姉さんが注目を集めるのは日本だけのことではない。韓国では、女性の「憧れの職業」として美女たちによる熾烈な奪い合いになっている。韓国の芸能情報に詳しいライターのチョ・ジュシク氏はいう。
「1990年代の日本の女子アナブームに影響を受けて、韓国でも女性お天気キャスターが次々と採用されるようになりました。それまでは専門的な“気象予報技術士”の資格を持った男性が報じるのが常識でしたが、それ以降、原稿は気象予報技術士が書いて、報じるのは若い20代の女性お天気キャスターというパターンが一般的になりました。
韓国では、人気が出るとタレントに転身するケースも多く、“元祖美人キャスター”と言われるアン・ヘギョンは人気女優になった。最近では美女が選ぶ理想の職業のトップに選ばれることもあります」
女性たちがこぞってなりたがる理由はイメージの良さにある。
「日本でいう女子アナに近い、才色兼備の職業というイメージが強い。最近はIT社長や医師、野球選手と結婚した気象キャスターのニュースがよく報じられています。富裕層の男性が選ぶ結婚したい理想の女性No.1はお天気キャスター。富裕層との結婚を掴み取りたいという願望を持つ女性が多いことも人気に拍車をかけています」(同前)
その証拠に、KBS(韓国放送公社)のカン・アランは元子役のミスコン出身、JTBC(中央東洋放送)のキム・ミンアはアシアナ航空の国際線乗務員から転身した。KBSのキム・ジヒョに至ってはミスインターコンチネンタルのソウル代表にも選出されたが、その後は気象キャスターの道を選んだという。
日本ではキャスターに専門性が求められるようになっているが、それに対して、韓国ではルックス重視で一層“タレント化”が進んでいるようだ。
取材・文■河合桃子
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号