体験取材などを得意とする『女性セブン』ライターの“オバ記者”こと野原広子(62才)が、世の中で起きている様々な事象に、思うがまま意見を綴る。今回のテーマは「中途半端な情に流されず、正確な情報を発信してほしい」だ。
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「日本はもうダメだよね?」って、40代の女友達が出し抜けに言い出したの。
新型コロナウイルスのことを言っているのは、聞かなくてもわかる。ダイヤモンド・プリンセス号の乗客の中から死者が出た、というニュースが流れた翌日のことだ。
不安な気持ちはよくわかる。テレビもネットも、イベントの中止や延期のニュースばかりだもの。
私はライターのかたわら、衆議院議員の事務所で、小学生に国会議事堂を案内するアルバイトをしているんだけど、ここ数日だけで4件のキャンセルが出た。多い日は午前中だけで黄色い帽子をかぶった8000人の小学生でごった返すのに、いまはガラ~ン。
満員電車でゴホンと咳をする人がいれば、体をひねったり、呼吸を止めたり。逆に自分が咳をしようものなら、「いやいや、私は大丈夫です」と言いたくなる。そのそばから、「本当に大丈夫か、私」と自分の体にすでにすみ着いているかもしれない新型コロナウイルスにおびえている。
事実とはかけ離れた“思い”や“不安”。これがひとり歩きする。それを口に出すだけじゃない。行動に変えちゃう人もいるのよね。
東日本大震災のときがそう。私の周囲では、テレビよりネットニュースにあおられた人が、家財道具一式を車に載せて、「東京にいたら危ないよ。逃げてっ。命には代えられないから」と涙声で電話で訴えて、関西や九州に逃げて行った。そして1週間、短い人は4日で帰ってきて、何事もなかったように元の家で暮らしていたの。で、そのときと同じ人が、「日本、ヤバい」と言っている。人って変わらないんだよね。
しかし、テレビのニュースやワイドショーって何なんだろうね。「クルーズ船の乗客の男女2人が死亡しました」って、そりゃないでしょ。「80代の男女」と「男女2人」と、受け取り方が同じなわけがないって。
毎年、A型とB型のインフルエンザで1万人が亡くなっていて、その大半が高齢者か、持病のある人なんだよ。それが今年はどうなっているかを報じないで、正体がわからない新型コロナウイルスのことばかりっておかしくないか?
それにしても、ダイヤモンド・プリンセス号で「陰性」とされた乗客の一部が、下船後に一転して「陽性」になってしまったのは怖い。結果的に厚生労働省が甘かったように思う。