いまやコンビニ売り場に欠かせない「おにぎり」。大手チェーンの中でも毎年のように改良を繰り返して断トツのクオリティを誇っているのがセブン-イレブンだが、今年も精米方法や海苔の包装フィルムを見直すなど、全面的なリニューアルを実施した。なぜ、セブン-イレブンはここまでおにぎりにこだわるのか。経済ジャーナリストの河野圭祐氏がレポートする。
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店頭で繰り返し買う、リピート率1位商品はセブンカフェ、2位がおにぎり──。これはセブン-イレブン・ジャパン(以下SEJ)の自社電子マネー、nanacoの集計データの結果だという。それだけに、手巻きおにぎりのリニューアル発表会も力が入っていた。
発表会場は老舗料理屋の「つきじ治作」(同・中央区明石町)で、会場となった2階の広間へ行く途中、中庭に広がる池には優雅に鯉が泳いでいる。手軽で身近な商品であるおにぎりの新作発表の場としては、やや演出過剰の感もなくはなかったが、SEJの園田康清・米飯・麺類シニアマーチャンダイザーはこう話した。
「最初に発表場所を聞いた時は私も驚いたが、これまで42年間、当社はおにぎりの品質を磨き続け、かつ品質を守り抜いてきたという自負があり、より新作おにぎりの価値をお伝えできると考えてこの会場を選定しました」
1974年に1号店がオープンしたセブン-イレブンでは、1977年におでんが登場、翌1978年におにぎりを発売しており、この2つは同社の看板商品で双璧。ただ、おにぎりで言えば発売40周年の一昨年が節目の年だ。同年にも厳選米おにぎりを発売してはいるが、今回は、なぜこのタイミングでおにぎりの刷新だったのか。
「例年、気温が上昇してくるこの時期からおにぎりの販売も、より上がってくるので、さらに美味しいものをお届けしたいということでこのタイミングになりました」(前出・園田氏)
セブン-イレブンの加盟店に端を発したコンビニ業界の24時間営業問題からちょうど1年。SEJはその後もスマホ決済での失態等、後ろ向きの話題が目立った1年でもあったから、看板商品のリニューアルで一度、重い空気を払拭したいという思いもあったかもしれない。