近い将来、起きる可能性が高いといわれる「首都直下地震」。人類が未だ経験していない、大都市への地震直撃に向けて、しっかりと備えておく必要がある。あなたの家、親族の家、子供の学校、職場は、安全な地域にあるのか、それとも、特別な備えが必要な場所なのか──。
今回は千代田区・中央区、新宿区・港区の詳細な「ハザードマップ」を作成した。
※参考/東京都建設局「東京の液状化予測図 平成24年度改訂版」、東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」、国土交通省国土地理院デジタル標高地形図、『首都大地震 揺れやすさマップ』(旬報社)
◆“どじょう”が泳ぐ地層
今回の4区は主にオフィス街であり、高層ビルの多さが目立つ。大地震が起きると、高い建物が崩れると心配する人もいるが高層建築物ほど頑丈なため、倒壊リスクは少ない。
ただし、必ずしも安全な立地というわけではない。千代田区にある日比谷第一生命ビルの建設着工時(1935年)には、その地下から「どじょう」が見つかったという逸話がある。関東学院大学工学総合研究所の若松加寿江さんはこう説明する。
「お堀から迷い込んできた“どじょう”だと考えられますが、その距離は最短でも40mもある。これは、どじょうが泳げるほど軟弱な地層が、日比谷入江の地下にはまだ存在していることをよく表しています」
◆超軟弱な地盤でできた「溜池山王駅」の周辺地域
1928年に埋め立てられた下水「赤坂川」は、さらに昔に存在した「赤坂溜池」の名残だった。「溜池山王」という駅名は、そこからきているとされる。超軟弱と評価される腐植土が数m堆積している。
◆揺れにくい「江戸前島」揺れやすい「日比谷入江」
神田から銀座あたりまで突き出た「江戸前島」は、台地と比べ低地ではあるものの、周辺の埋め立て地よりは比較的揺れにくい。一方、日比谷入江埋め立て地は関東大震災(1923年)でも震度6以上の激しい揺れがあったとみられる。
◆川が「落ち合う」地点