「ちょっと体が心配」と、病院へ行く人も少なくない。しかし、病院で受ける医療行為や検査の中には、意味がないものや、かえって症状が悪化するものもある。自分にはどの医療行為・検査が必要なのかを、しっかりと知って、受診のための知識を蓄えておこう。
◆最新がん検査 正体不明がんで不安が増す
最近話題になっているのが、体長わずか1mmの「線虫」を使ったがんの検査技術だ。がんのにおいをかぎ分ける線虫は、わずか1摘の尿からがん罹患者を見つけられるというが、国立がん研究センターの中山富雄さんは「精度が低い検査方法」と断言する。
「高感度をうたい文句にしていますが、論文をよく見ると、その研究方法が信頼のおけるものではないとわかります」
昨年、大きな話題となった“血液1滴”から十数種類のがんを診断できるという「マイクロRNA」を利用した検査にも懐疑的だ。
「1回の検査で2万円以上かかるうえ、仮に、『なんらかのがんにかかっている』と診断されても、どこにがんがあるのかを特定するのは途方もない道のりです。医師は、『わからない』という答えしか出せないでしょう」(中山さん)
「どこかにがんがある」と意識しながら生活するのは、想像を絶するストレスになる。目新しさに飛びつくと、取り返しのつかないことになりかねない。
専門家たちは一様に、「医療行為にはリスクが伴う」と警鐘を鳴らす。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんはこう言う。
「病院の利益のために、不要な検査や手術が行われることは決して珍しくないと心得てほしい」
“病院へ行けばどうにかなる”というのは、危険をはらんでいることを忘れずに。
※女性セブン2020年3月12日号