ビジネス

コロナで窮地のホテル業界 外国人頼みの一本足打法が裏目に

緊急事態宣言が出された北海道はホテル業界が大打撃(時事通信フォト)

緊急事態宣言が出された北海道はホテル業界が大打撃を受けている(時事通信フォト)

“コロナショック”で窮地に立たされている業界はたくさんあるが、もっとも甚大な被害が心配されるのが観光業だ。中でもホテルは予約客のキャンセル等がすでに経営を直撃しているものの、意外にも影響が少ないホテルもあるという。その違いとは何か──。ホテル評論家の瀧澤信秋氏がレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスによる感染拡大防止と自粛ムードの広がりは、宿泊業界に大打撃を与え続けている。予約客の激減で、破産開始決定という旅館のニュースも話題になったばかりだが、特に資本力のない観光地の旅館やホテルの悲鳴は相当だ。

 このところ、インバウンド(訪日外国人旅行)頼みで潤ってきたホテルが多いだけに、ゲスト数だけでいえば最高時の80%以上減少というホテルさえある。従業員の給料が払えないので解雇はやむを得ず、それ以上に「ホテルの存続すら危ぶまれる」と話す観光地のホテル経営者は多い。

 都市型ホテルについても影響は甚大だ。人が多く集まるイベントなどについて自粛要請が出たが、宿泊客の減少という中でバンケット(宴会)やウェディングなども収益の柱だったフルサービス型ホテルでは、当然のようにキャンセルが続出している。

 安倍晋三首相が3月1日の感染症対策本部会合で、集団感染防止のため“スポーツジムの利用やブッフェ形式の食事を自粛”などを求めたが、ブッフェといえばホテル定番の人気ダイニングだけに、イメージの悪化を懸念するホテル関係者の声もある。

 今後の影響や被害、感染拡大の推移は未知数であり、新型コロナウイルスによる宿泊業界への影響についても、具体的な損失額や倒産件数などのデータが出揃うまでは時間を要すると想定されるが、予断を許さない状況であることだけは確かだ。

 直近の新聞報道によると、2月26日以降3月末の大都市圏(東京都区部、京都市、大阪市、札幌市、福岡市の5都市)のホテル宿泊プランの3割が値下げしていたことが分かったという(日本経済新聞電子版/3月2日)。ビジネス需要の落ち込みやイベント自粛の今後の影響も見越しての措置だ。東京オリンピックを控えた時期でもあり、宿泊業界にとっても最悪のタイミングであることは間違いない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン