1970年1月に産声を上げたドラえもんが、50周年を迎えた。それを記念して、各界の“ドラえもん好き”著名人に、22世紀に伝えたい言葉、場面を聞いた。書道家の武田双雲氏が選んだのは、ひみつ道具「しあわせカイロ」が登場するシーンだった
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僕は今でもドラえもんが大好きだ。僕の3人の子どもたちも、みんなドラえもんが大好きで、特に一番下の息子は今5歳で、ドラえもんにはまっている。ほかのアニメをまったく見ようとせず、ドラえもんしか見ない。一番好きなキャラクターを聞くと「ジャイアン」と返ってきた。いざとなるとのび太を助けるからという理由だった。5歳ながらにキャラクターの特性をしっかりと捉えて、友情の在り方や弱さを許す心を学んでいるんだなと感動した。
僕がこのシーンが好きな理由は、「人間は、行動が感情を生み、その人の人生を作る」と信じていて、まずは、日頃から意識して自分自身が幸せそうな行動を取ることが大切だと思っているので、その重要性をドラえもんが言ってくれていることに深く共感したから。ドラえもんが子どもたちの人生に与える影響はとても大きいと思う。
【藤子・F・不二雄 大全集『ドラえもん』第3巻「しあわせカイロでにっこにこ」とは】
「なんとなくおもしろくない。ぼくは生まれつきついていない」と、元気がないのび太。それを見たドラえもんは「いつも楽しそうにしていれば幸せになれる」と言い、ポケットからひみつ道具「しあわせカイロ」を取り出して、のび太に貼りつける。カイロの効果でウキウキするのび太は、ママに叱られてもジャイアンたちに殴られても笑顔。ニコニコしているといいことがあると体感したのび太は、カイロをとった後も幸せな気分に。
●たけだ・そううん/1975年生まれ。熊本県出身。東京理科大学理工学部卒業。3歳より書道家である母・武田双葉に師事。NHK大河ドラマ「天地人」など数多くの題字、ロゴを手がける。今でも毎年映画を観るくらいのドラえもん好き。
(C)藤子プロ・小学館
※週刊ポスト2020年3月13日号