世界で活躍するのを夢見てスポーツに打ち込む子どもたちを守るため、大人のルールにはない「禁止事項」が数多く設けられている。野球は成長過程などによって統括する団体が複数あるため、その団体によるルールの違いも存在するが、サッカーは、プロからジュニアまで協会が一本化されている。
U-12の少年サッカーは8人制で、ピッチの広さは半分。選手交代は何度でもできて、一度ベンチに退いた選手も再出場可能など、大人とは異なるが、新たに議論されているのが、“ヘディング規制”だ。
2月24日、イングランドのサッカー協会は、「ヘディングが脳に悪影響を与える可能性がある」として、小学生以下のヘディング練習の禁止を発表した。
「昨年10月に英グラスゴー大学が、元プロサッカー選手はパーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患で死亡するリスクが3.5倍高いとする研究結果を発表し、それを受けての措置です」(スポーツ紙アマチュアスポーツ担当記者)
ガイドラインによると、18歳以下は年代によって規制内容が変わり、7~11歳は練習禁止、12歳は月に1回の練習で5回までとなっている。試合では禁止されていないが、できる限り避けることが推奨されている。
日本ではどうか。元日本サッカー協会副会長で、少年サッカー教室を開催している釜本邦茂氏は現状をこう語る。
「日本ではまだそのような考えは議論されていないが、今後は世界的に広がっていく可能性はある。小学生を対象にしたサッカー教室でも、ヘディングについては説明もしますし、実演もします。ただ、子供たちにヘディングの練習はさせません。頭蓋骨が未発達で、首への影響も少なくない。試合中に頭に飛んで来ることはあるので、ケガをしないために教えています」
※週刊ポスト2020年3月20日号