新型コロナウイルス感染拡大の影響で、3月20日開幕予定だったプロ野球開幕が延期となった。しかし、開幕日は未定のままだ。クライマックスシリーズも中止の方向で最終調整に入っているとされ、143試合全てを消化できるのかという問題もある。
そこで議題の1つとして、1日に2試合を消化するダブルヘッダーの実施も検討されているという。野球担当記者が話す。
「ダブルヘッダーは、1998年10月10日の横浜対中日戦(横浜)を最後に行なわれていません。1988年の東京ドームを皮切りに、5年後には福岡ドーム、その4年後に大阪ドーム、ナゴヤドーム、そして1999年に西武ドームができて、12球団のうち半分がドーム球場を本拠地に持つようになったこともあり、消滅した。グラウンドコンディションが昭和の頃と比べて格段に良くなったことも大きく影響しているでしょう」(以下同)
22年も実施されていないダブルヘッダーに対しては、選手の体力的な問題もあり、否定的な意見も見受けられる。そこで昭和のプロ野球を振り返ると、意外な事実が見えてきた。
「1970年代までは開幕直後からダブルヘッダーが組まれていました。たとえば、パ・リーグに前後期制が導入された1973年、前期1位の南海は4月の2回を含めて前期8回、年間で17回、後期1位の阪急は開幕日を含め年間18回もダブルヘッダーを行なっています」
この年はセ・パともに4月14日開幕。パの6球団は7月12日までの約3か月で前期の65試合を、後期は7月27日から10月16日までと2か月半で65試合を消化した。
「この年は前後期制ではなく、1シーズン制のセ・リーグも開幕直後からダブルヘッダーがありました。たとえば、広島とヤクルトは7月までに7回も行なっています。1970年代までは開幕直後のダブルヘッダーも、毎年のようにあったのです」
当時の記録を検証していくと、夏場の東京五輪開催に加えて開幕延期が決まり、過密日程を組まざるを得なくなりそうな今年のプロ野球の参考になるかもしれない。
「現在は、昭和の頃と比べて、支配下登録選手や1軍ベンチ入りの人数、外国人選手枠が増えましたし、投手の分業制も確立された。昔は9人野球が理想とされ、レギュラーと控えの実力差も大きかったですが、最近は主力に休養日を設ける球団もある。それほどチーム全体の戦力が充実してきている。たしかに選手には負担が掛かりますが、チームの環境が昔より良くなっているのは間違いない。疲労度を考慮するなら、今シーズンは1軍登録人数を増やすなどの工夫をしてもいいかもしれません」
ダブルヘッダーの実施に向けて、さまざまな角度からの検証が望まれる。