東京・世田谷区の保育園「グローバルキッズ上野毛一丁目園」が突如、休園となり、保護者たちは心配そうな表情を浮かべている。
「30代女性職員が新型コロナウイルスに感染したんです。彼女は倦怠感が出てからも園児たちと接触していたので、子供たちが感染していないか心配です…。彼女は休みの日を使って、いま、話題になっているライブハウスに行っていたんです」(20代女性)
《今回、新型コロナウイルスに関する件でご心配をお掛けして申し訳ありません。そして三月の全てのイベントの出演を自粛させて頂きます》
3月2日、公式ブログでそう発表したのは、大阪を中心に活動するロックバンド「ZILCONIA(ジルコニア)」。オリコンチャートを賑わすようなバンドではないというが、全国から熱狂的なファンがライブに駆けつける。だが、新型コロナウイルス騒動ではその熱狂が裏目に出た。
今回、感染拡大の震源地の一例とされるのが、「Arc」「Soap opera classics -Umeda-」など、大阪市内にある4つのライブハウスだ。
「これらでクラスター(集団感染)が発生し、ライブ会場で感染した観客が大阪から京都、北海道、東京、高知、熊本など10都道府県に戻ったのち、さらに家族や職場などに感染が拡大し、ライブハウス関連の感染者は、わかっているだけですでに50人を超えています。前売り券の客は追えるものの当日券購入者の追跡は困難で、どこまで感染が広がるか想像できません」(地元紙記者)
最初の発生源といわれる「Arc」で行われた2月15日のライブには、冒頭の30代女性職員も参加していた。同じライブに参加した大阪府の40代女性が振り返る。
「その日はジルコニアのベーシストのカツオさんが呼びかけたイベントでした。ジルコニアはボーカル・ギターの今津直幸さんとの2人組バンド。2017年にメジャーデビューし、ビートたけしさんの『みんなの家庭の医学』(テレビ朝日系)のエンディングテーマも担当したことがある実力派です。ほかにも『フラチナリズム』や『KING』といった人気バンドが出演し、全国から熱狂的な追っかけファンが集結しました」
狭い会場で18時半から22時まで続いたライブはかなりの盛り上がりを見せた。
「窓がなく、広さは20畳くらいの会場を約120人の観客がスタンディングで埋め尽くしました。みんな肩と肩が触れ合う距離でリズムを取りながら演奏を聴き、声を張り上げて一緒に歌を歌い、まさに熱気ムンムンでした。政府のイベント自粛要請前に開催されたので、マスクをする人はほとんどおらず…感染者がいたならかなりの“濃厚接触”でしたね」(前出・40代女性)
ライブハウスでクラスターが発生した理由を医療関係者が説明する。
「クラシックコンサートで静かに演奏を聴く場合と違い、ロックバンドのライブは観客も一緒に大声で曲を歌います。そのため、静かに話すときよりも肺の奥にいるウイルスが勢いよく出てしまい、感染率が高くなります。それが、ライブハウスでの感染者が多くなった理由の1つです」
ちなみに、出演バンドのメンバーからは、陽性反応は出ていないという。
※女性セブン2020年3月26日・4月2日号